神気闘法による圧倒


 カリンに案内されて、ナルダが出現してくるはずの魔法陣がある場所へとやって来た。


「奴は今度はここから出てくるつもりのようだぞ。」


 彼女がゲシゲシと憎たらしそうに、半分ほど絵柄の完成している魔法陣を踏みつけている。


「奴が出てきた瞬間、用意していた魔法で奴の魔法を止めてみる。社長は奴に魔法を使わせる暇なく攻撃を仕掛けてくれ。」


「わかりました。」


 簡単な作戦を話し合った後、魔法陣の紋様が完成し、光が溢れ出した。そしてナルダの体が魔法陣から姿を現す。


「チッ、随分邪魔をして……ぶぐっ!?」


 舌打ちをしながら、不機嫌そうに現れたナルダの顔面に、挨拶代わりに神気闘法による拳を打ち込んだ。


「悪いが、お前のくだらない話に付き合ってやるつもりはない。現れたからには、迎撃させてもらう。」


「ぐ……このッ!!」


 奴が魔法を放とうと、吹き飛びながら手を翳してくる。


「魔法を使う暇なんて与えない。」


 瞬時に距離を潰して、奴の喉に肘をたたき込んだ。


「ガボォッ!!カッ……ハッ。」


 喉を潰され、息をするのも苦しそうなナルダへ更に追い討ちを仕掛ける。追撃の最中、俺は自分のステータスを開いて、神気の量を確認する。


(残り25%か……。ならこのまま、最大火力を叩き込む。)


 右手に残った全ての神気を込め、仰向けに倒れ込みそうになっているナルダを狙うと、奴の胸の中心が狙ってくれと言わんばかりに光を放っていた。


「……っ、ここだッ!!」


 全力を込めた一撃を奴の胸に叩き込むと、次の瞬間……眩い光を放って大きな爆発を起こした。


 その一撃を叩き込んだ後、俺は一気に無気力状態となって、その場にぐでんと倒れ込んでしまった。


「うぇぇぇ……。」


「社長っ!!だ、大丈夫なのか!?」


 ナルダが沈黙し、俺もまた倒れ込んでしまったところに、カリンが駆け寄ってくる。


「だ、大丈夫です。ちょっと無気力になってるだけでぇ……。ば、バッグから神華樹の果実を……と、取ってください。」


「わかった。少し待っていろ!!」


 そしてカリンがマジックバッグから神華樹の果実を取り出して、俺に食べさせてくれた。それのおかげで、神気が全回復し無気力状態からの復活を果たす。


「ふぅ、助かりました。」


「起き上がったところ悪いのだが、ナルダはどうなった?」


「そこで伸びてると思いますよ。」


「む、そうか。」


 カリンがナルダを確認しに行くと、ムッ……と顔をしかめながらこちらに戻ってきた。


「一応生きてはいるようだが……随分ぐちゃぐちゃにされたものだ。」


「なりふり構わず攻撃してしまいましたから。」


「しかも、こいつから一切の魔力を感じぬ。今の状態であれば拘束できるだろう。」


 そしてカリンは既にズタボロになっているナルダにムチを打つように、荒々しく奴の体を師匠を拘束していたあの道具で拘束した。

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