薬物耐性
一杯……二杯とカリン達の用意した、俺に対する特攻酒なるものを飲まされると、ドロリと意識が溶けていくような感覚に襲われた。
その傍らでカリンは、コラーゲン鍋とレインガルーダのローストチキンを美味しそうに貪っていた。
「んむんむ、美味い飯にはやはり酒だ。社長もそう思うだろう?」
「そう…ですね。」
「くふふ、社長特攻酒の効果は抜群だな。すっかりトロンと蕩けてきておる。心地良いだろう?そのまま心地良さに身を任せてしまっても良いのだぞ?」
まだ意識はあるが、後二杯……いや一杯飲まされたら、否応なしに意識が沈んでしまうかもしれない。弱ったな……どう切り抜けるべきか。
酔いが回り、回らない頭を何とか働かせていると、頭の中に声が響いてきた。
『未確認薬物の解析終了。抗体生成……完了。異常を回復します。』
その声が響いた直後、パッと意識が急覚醒し、酩酊感が体から消え去った。
「んっ!?」
これは……何が起こったんだ?状況を把握している最中、俺はあるスキルの存在を思い出した。
「そうか、
ミミックアシッドスライムの宝玉を食べたことで入手したスキル……。なかなか発動する機会がなかったものだから、すっかり存在を忘れていた。
「そういうことなら、これを飲んでも……。」
手元に注がれていた俺特攻の酒を飲んでみると、さっきまで感じていたような酩酊感は襲ってこなくなった。
しかし、薬物耐性が発動していることを知らないカリンは、未だ勝ち誇った表情でこちらを見ている。
「おぉ、流石…良い飲みっぷりだ。」
「このお酒、口の中がサッパリして美味しいですね。」
「なぬ?」
少し表情が曇ったカリンの手元にあった。残りの酒の入った瓶を手に取り、俺はそれを一気に飲み干した。
「なっ……。」
「ぷはっ、ご馳走様でした。」
「な、なぜ平然としていられるのだ!?これを一気飲みしようものなら……すぐに潰れてしまうはずだぞ!?」
急に焦り始めたカリンに、俺は用意していたウイスキーをかなり濃い目のハイボールにして手渡した。
「ご馳走になったので、俺からも一杯どうぞ。」
「うぐぐ……何がどうなっているのだ。」
さぁ、ここから反撃開始といこうか。
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