出来上がったクラーケン料理


 師匠たちもみんなお風呂から上がり、食卓を囲んだところで、俺はせっせと料理を運んでいく。


「はい、まずはクラーケンのお刺身。」


「お刺身ッ!!」


 お刺身という言葉に、真っ先に反応したのはシアだった。さっきのグレイスのように、お刺身をじっと見つめて今にもよだれを垂らしそうになっていた。


「しあちゃん…よだれ。」


「はにゃっ!?え、えへへぇ美味しそうだからつい……。」


 今のところシアだけがお刺身という言葉に反応したように思えるが、実はもう一人お刺身という言葉に反応していた人物がいた。


「ら、ライラもよだれ垂れそうになってるわよ。」


「はっ!?も、申し訳ございません。」


 その人物とはライラだった。やはり姉妹ということなのかな。


「で、次はイカ焼きです。」


「おぉぉぉぉっ!!来たぞ来たぞ、私はコレが楽しみだったんだ。」


 運ばれてきたイカ焼きを食い入るように見入っているのは、イカ焼きというものを良く知る師匠だ。


「残念ながら大きさの関係上、師匠が知る屋台で売ってるような物とは、ちょっと形は違くなっちゃいました。」


「いや、これもまたそれぞれのイカの個性というものだ。多少の形の相違は仕方ないだろう。大きなイカを焼いていることには変わりはないんだ、これも立派なイカ焼きに間違いはない。」


 うんうんと何度も頷きながら、コレがイカ焼きであることに納得してくれている師匠。理解してくれて本当に助かった。


「で、コレが最後……極厚イカフライと巨大イカリングです。」


 更にクラーケンを使った本日最後の料理を運び込んだ。すると、みんなの視線が一気にイカリングへと降り注いだ。


「これシア達がお手伝いしたの!!」


「みんなで…がんばった。」


「自分もお手伝いしたっす〜。」


 イカリングのお手伝いをしてくれた三人の頭を撫でてから、食卓に味付けのソースなどを並べていく。


「一応、ソースとマヨネーズとタルタルソースの三種類……どれか好きなのをつけて食べてくれ。」


 みんなが食べたくてウズウズとしてきているところで、俺も食卓について手を合わせた。するとみんなもすぐに手を合わせてくれた。


「それじゃ、いただきます。」


「「「いただきまーす!!」」」


 いつもの食前の挨拶を終えると、みんな一斉にクラーケンを使った料理に箸を伸ばした。

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