クラーケン解体
魔包丁レヴァを手にして、クラーケンの胴体に刃を当てると、まるで自分から割れるように……繊維に沿って一本線が入り、胴体がガバっと大きく開かれた。
「えっとこの中に……あ、あったあった。」
現れた内臓の中に、一つ黒い液体が袋に詰まっている臓器がある。コレが墨袋だ。
「これは割らないように切り取って、端っこを強く結んでおく。」
そもそものサイズがとんでもなく大きいから、墨袋も超巨大だ。これで何人前のイカ墨パスタが作れるだろうか……今から楽しみで仕方がない。
「他の内臓は……食べられるかもしれないけど、ギルドに提供しよう。」
流石に人を食ってるかもしれないクラーケンの肝臓で塩辛とかは作りたくないし……な。
そしてきれいに内臓を取りながら、ウォーターブレスで洗っていたところ、コロリと内臓の中からあるものが転がってきた。
「おっ!!あったあった。やっぱり中にあったんだな。」
転がり出てきたのは、まるで真珠のように真っ白な宝玉だった。試しに鑑定してみると、レベルは低いがしっかりと言語理解のスキルを確認できた。
「よしよし、当初の目的は達成だな。後はこのクラーケンを解体してしまおう。」
残る工程は、胴体とゲソを切り分けて、目とクチバシを取り除くだけ。これもちょっとイカが大きくなっただけで、やることは変わらないからあっという間に終わってしまった。
「ほいっと、これでクラーケンの下処理はお終いだな。」
内臓や目、クチバシを袋にまとめて入れて、それをミースに手渡した。
「討伐証明はこれぐらい内臓があればいいかな?」
「はいっ、問題ありません。あの……一つ気になってたんですけど、ヒイラギさんって何度かクラーケンを解体したことあります?」
「ん?もちろん今回が初めてだぞ?」
「それにしては、すごく手際が良かったというか……。」
「あぁ、これと同じ体の構造の生き物を何度か扱ったことがあるからな。体は大きくなっても、構造とかはそんなに変わってなかったから、やることがあんまり変わらなかったんだ。」
「そ、そうだったんですか。」
「そういう事。あ、残ったクラーケンの身とかゲソとかは俺が貰ってもいいよな?」
「もちろん大丈夫ですよ。……ちなみにそれをどうするつもりですか?」
「それはもちろん食べるんだよ。」
「く、クラーケンって美味しいんですかね?」
「さぁ、それは食べてみないとわからないな。もし美味しかったら、ミースのとこにもお裾分け持ってくるよ。」
そんな約束を交わしてから、俺はクラーケンを調理しやすいサイズに切り分けるのだった。
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