ミースが借りてきた場所


 グレイスと軽い料理を食べながらミースを待っていると、数十分した後ミースがギルドに戻ってきた。


「お、お待たせしましたぁ。」


「ん、ミースお帰り。」


「市場の方と話して、広い場所を確保してきました。そちらに移動しましょう。」


「わかった。ほら、グレイス行くぞ。」


「んむむっ!!ぜ、全部食べちゃうっす!!」


 そしてあっという間に、グレイスは注文した料理を全部食べ終えると、俺のところに飛んできた。グレイスの事を抱きながら、俺はミースの後に続いて市場の方へと歩いていく。


「それにしても、クラーケンが海にいるのによく船を出してくれる人がいましたね。」


「ん?あぁ、船には乗ってないぞ。」


「え?でもクラーケンを倒すには船で沖まで行かないと……。」


「ちょっと特殊な友人がいるんだ。」


「へぇ〜、それちょっと気になります。マーレに行ったら会えますか?」


「もしかすると、会えるかもな。」


「じゃあ今度マーレに出張に行った時に探してみます!!」


 そんな会話をしていると、あっという間に市場についてしまった。


「それで、市場のどこを借りたんだ?」


「こっちです。」


 そしてミースのあとに続いて、市場の競りなどをする広い場所へと案内された。すると、そこには巨大なブルーシートのようなものが敷かれていた。


「ここなら流石にクラーケンでも出せるんじゃないですか?」


「あぁ、多分大丈夫だと思うぞ。」


 ブルーシートの中心に歩いていき、そこでマジックバッグに手を入れてクラーケンを引っ張り出した。


「いよっと!!」


 流石にクラーケンのゲソと触腕は長すぎて、ブルーシートからはみ出してしまっているな。しっかし、このゲソはまた極太で……歯ごたえがあって美味しそうだな。


 俺にはもうこいつが食材にしか見えない。


 そんな俺の横で、ミースは自分の何十倍も大きなクラーケンを呆気にとられた様子で見つめていた。


「ミース、こいつがクラーケンで良いんだよな?」


「へ……あ!!はいっ!!間違いないです。後は討伐証明に少しだけ素材をいただければ……。」


「わかった。」


 流石にこんなデカブツ相手には普通の包丁じゃ役不足だ。だから、魔包丁レヴァを使わせてもらおう。


 マジックバッグから魔包丁レヴァを取り出すと、待っていたと言わんばかりに、刃渡りがグン……と長くなった。


「さて、それじゃあクラーケンの解体を始めるか。」


 

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