クラーケン討伐


 活け締めしたクラーケンを、すぐにマジックバッグへとしまい込んでいる最中、俺はあるものを探していた。


「うーん、無いなぁ……。」


 探しているのは、クラーケンの宝玉。海の中に落ちてしまったってことはないだろうし、落ちなかったのかな?


「まぁもしかすると、サラマンダーの時みたいに体内に入ってる可能性もあるからな。希望は捨てないでおこう。」


 そしてクラーケンをしまった後、俺は待っていてくれたブラックフィッシュ達の元へ戻り、再び背中に跨った。


「よし、それじゃあ戻ってくれ。」


「キュイ〜ッ!!」


 ブラックフィッシュに乗せてもらって、あの海岸へと送り届けてもらった後、少し戯れてから俺とグレイスはエミルの街へと戻った。


「さてさて、後は報告するだけだな。」


「あの魔物、ギルドに引き渡しちゃうっす?」


「いや、討伐したって証明になる部位だけ渡して、残りは食べてみようと思う。」


「良いっすねぇ〜、あの魔物食いごたえがあって見てて美味しそうだったっす。」


「はは、間違いなく食いごたえはあるだろうな。」


 サラマンダーと同様に、食べ切るのにはめちゃくちゃ時間がかかりそうだ。


 そんな事をグレイスと話しながら、ギルドの中に入ると、ミースが酒場でひと休憩挟んでいるのが目に入った。


「あ!!ヒイラギさん、もうお戻りになったんですね?」


「あぁ、あの海に詳しい知り合いがいてな。案外早くクラーケンを倒せたよ。」


「討伐証明になる部位の摘出とかは、まだ済んでないですよね?」


「そうだな。流石にそこまではやってない。」


「それでは……う〜んどうしましょうか。かなり大きいですよね?」


「多分この広さがあっても入らないかも。」


「わかりました。それじゃあ、ちょっと待っててくださいね。」


 すると、ミースはパタパタとギルドから駆け出して行ってしまう。


「じゃあちょっと待ってるか。グレイス、なんか食べるか?」


「え、いいんすか?」


「あぁ、頑張って飛んでもらったからな。好きなもの頼んでいいぞ。」


「やったっす〜!!」


 この酒場のメニュー表をグレイスと共に眺めながら、軽い料理を注文し、それを食べながらミースが帰ってくるのを待つことにした。

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