オムライスのお手本
オムライスを美味しそうに頬張るマドゥを見て、カリンはむむむ……と唸っていた。
「マドゥの好物がわかったのは良いが、これはなかなか自分で作るのは骨が折れそうだな。」
「良かったら、今度練習にお付き合いしましょうか?」
「いいのか?社長も暇ではないだろう?」
「せっかくなら、マドゥには大好きなものをいつでも食べられるようになってほしいですから。」
「ならばお願いしよう。正直あれは手本無しでできるとは思えないのだ。」
「それじゃあまずは、一回食べて完成形がどんなものか覚えましょうか。」
これから自分がどんなものを目指して作るのかを知ることで、妥協もしなくなるだろうし、頑張る指標になる。
「うむ、そうだな。では早速いただこう。」
彼女は、スプーンでデミグラスソースがたっぷりとかかったオムライスをすくい取って、一息で頬張った。
「むぅっ!?な、なんだこれは……舌がとろけるようだ。」
驚愕しながらも、カリンの食べる手が止まらない。そしてあっという間にオムライスを食べ終えてしまった。
「み、魅惑の食べ物だった……夢中になって食べ進めてしまったぞ。」
「これが目標になるので、しっかりと覚えておいて下さいね。」
「うむ、脳裏に焼き付くほど印象に残った。」
紙ナプキンで口元を拭きながら、カリンは頷く。
「まずは一度やってみない事には、自分がどこまでこれに近いものを作れるのかわからんな。」
「それじゃあ早速……やってみますか。ちょっとハウスキットからフライパン取ってきますね。」
みんなの食べた食器を片付けて、俺は屋敷の外へと出た後、ハウスキットを展開する。そして中に入ると……。
「あっ、
「ん?イリスか。」
ハウスキットの中では、両手に神華樹の果実を抱えて、イリスがそれにかぶりついていた。
「神気の補給か?」
その問いかけにイリスは何度も頷いた。手にしていた神華樹の果実を食べ終えると、ほぅ……と一つ大きく息を吐いた。
「はぁ〜、神気満タンです!!」
「だいぶこの樹に実る果実も大きくなったな。」
「そうですね、毎日たっぷり私の神気に当てられていますから、ぐんぐん成長してますよ。」
「この果実もう一つもらってもいいかな?」
「全然大丈夫ですよ〜、持って行ってください。」
「助かる。」
大ぶりな神華樹の果実を、一つもぎ取ってハウスキットの中へとしまい込む。
「あっと、そうだフライパンも探さないと。」
その後、カリンに渡すフライパンを探し出して、俺は彼女の屋敷へと戻るのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます