みんな大好きオムライス


 俺自身の分も含めて、四つのオムライスを作ったのだが……最後の最後までカリンはオムレツを作る方法を解き明かせずにいた。


「ぐぬぬぬ、此方としたことが不覚だ。何一つ得られるものがなかった。」


「こればっかりは練習しないと習得できない技術ですから。仕方がないですよ。」


「ならば社長はどうやって練習を重ねたのだ?」


「俺は、こういうフライパンに軽く折りたたんだタオルを乗せて……後は、こうやってトントンって柄の部分を叩いて感覚を掴んでましたね。」


「そもそも、そのとやらの調達から始めねばならん訳か。」


 うむむ……と悩むカリン。確かにオムレツを作るには、こんな感じのフライパンを用意しなければいけないな。


 確か、新品の箱に入ったままのオムレツ用のフライパンが、何個かハウスキットの中にあったような……。


「確か新品のフライパンが残ってたと思うので、良かったら譲りますよ。」


「本当かっ!?」


「はい、使わないよりも使ってあげたほうが道具も喜ぶと思うので。」


 そんな約束をカリンと交わしていると、手をしっかりと洗ったシア達がリビングにやって来た。


「オムライスだ!!」


「ふわふわ…とろとろ!」


?」


 シアとメリッサの二人は、オムライスを見て大喜びしているが、初めてオムライスを見るマドゥは首を傾げていた。


「マドゥ君オムライス知らない?」


「うん……。」


「ふわふわ…とろとろで…すごく…おいしいよ。」


「そうなんだ、た、楽しみかも。」


「みんな、おかわりは作るから。遠慮なく言ってくれ。」


「「わ~い!!」」


 そしてみんなで食卓を囲むと、シアとメリッサはすぐに手を合わせた。


「シアちゃんとメリッサちゃんって、ご飯の時いつも手を合わせるよね。」


「うん!!いただきますって挨拶してから食べるんだよ。」


「ごはんと…つくったひとに…かんしゃする。」


「そうなんだ。」


 意味を理解したマドゥはシアとメリッサを真似て、手を合わせた。


「えへへ、それじゃあ……いただきま〜す!!」


「いただきます。」


「い、いただきます!!」


 三人はみんな一緒にいただきます……と挨拶をしてから、オムライスを食べ始めた。


「んふ〜♪おいひぃ〜。」


「やっぱり…おむらいすだいすき!」


 目を輝かせながら、オムライスを口いっぱいに頬張るシアとメリッサを見ながら、マドゥも一口オムライスを口に運んだ。


「んんっ!!これ美味しいっ!!」


 一口食べた後、マドゥはシアとメリッサよりも早くオムライスを食べ終えて、誰よりも早くおかわりをしたのだった。

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