サンダーブレスのカウンター


 六体のボルトドラゴンが一斉にサンダーブレスを放とうとする。初見ならば避けきるのは困難だが……俺はもうこのブレスの対策は編み出している。


「纏い衣……雷。」


 体にサンダーブレスを纏わせ、本物のボルトドラゴンをロックオンした。


「ふっ!!」


 そしてわざとサンダーブレスに当たる軌道で、一気にボルトドラゴンへと向かって飛んだ。


「馬鹿がよ、くたばりやがれ!!」


 直後、俺へと向かって放たれる何本ものサンダーブレス。それに向かって右手を翳すと、すべてのサンダーブレスが取り込まれるように俺の右腕に集約した。


「ハァ!?」


「悪いが、俺のサンダーブレスはお前が六体集まったところで、押し負けるようなもんじゃない。」


 ボルトドラゴンのサンダーブレスを吸収し、普段よりも威力増し増しになった拳を構えて、ボルトドラゴンの眼前に迫る。

 雷への耐性には自信があるようだが、自分六体分のサンダーブレスに加えて、俺のサンダーブレスが加わったこの一撃は耐えれるかな?


「俺を殺すつもりで来たんだよな?それなら、もちろん自分が返り討ちにされても文句は無いよな。」


「ぐ……クソが。」


 咄嗟に翼で体を覆って、防御態勢をとるボルトドラゴン。だが、そんなものはその場しのぎにすらならない。


「今度は全力だ。喰らってみろ……よッ!!」


 拳を全力で振り抜くと、アッサリとボルトドラゴンの翼を突き破り、その奥にあった顔面に拳がめり込んだ。

 すると、俺の体に纏われていたサンダーブレスが、全てボルトドラゴンへと流れ込んでいく。


「グゥゥゥゥッ……ガアァァァァッ!!」


 なんとか抑え込もうと、力を込めていたボルトドラゴンだが、その努力も虚しく内側から溢れ出したサンダーブレスによって、ボルトドラゴンは焼かれていく。

 ボルトドラゴン本体が重大なダメージを負うと、周りの分身も消えてなくなった。


 そしてしばらくサンダーブレスに焼かれていたボルトドラゴンは、真っ黒焦げになって空から地面に落ちてきた。


「さて、生きてるかな。」


 落ちてきたボルトドラゴンに近づくと、まだピクピクと動いているのが確認できた。


「お、雷に耐性があるからギリギリのところで生きてるな。」


 おまけに超再生のスキルも持っているようで、焦げた皮膚がかなりゆっくりだが、徐々に治ってきているようだった。


「今のうちに獣人族の国の研究機関に運ぶか?その間に体が治らないといいけどな。」


 ボルトドラゴンをどうするか考えていると、俺の真横に魔法陣が現れた。

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