耳が早いカリン


 レアチーズケーキが出来上がるのを待っていると、カリンが訪ねてきた。


「なにやら面白いことをしていると、聞きつけてやってきたぞ社長。」


「耳が早いですね。」


「社長の行動は全て此方の耳に入ってくるからな!!特にこの国ではな。」


 むふ〜と大きくカリンは胸を張る。


「で、今回はどんな甘味を作っているのだ?」


「今回はレアチーズケーキってお菓子を作りました。」


「れあちーずけーき……また聞いたことのない名だ。どんなお菓子なのだ?」


 不思議そうに彼女は首を傾げた。


「レアチーズケーキはね〜、もうねっとり濃厚で……チーズの美味しさがすっごく際立つお菓子だよ!!」


 そうフレイは熱弁するが、そもそもチーズという物自体がわかっていないカリンには、しっくりきていない様子だ。


「うむむ……食えばわかるか?」


「それが一番手っ取り早いかもしれませんね。」 


 食べ物を知るには、食べるのが一番手っ取り早い。百聞は一見にしかずという言葉があるようにな。


「多分そろそろ出来上がってるかな。」


 冷蔵庫からレアチーズケーキを取り出すと、みんなの視線が一気に集中した。


「おぉ?これはまた随分不思議な物が出てきたな。」


「今切り分けますね。」


 ナイフでレアチーズケーキを切り分けると、ネットリと濃厚なのが伝わってくる。断面には気泡も入ってないし、完璧に仕上がってる。

 鼻を近づけて香りを嗅いでみると、爽やかなグリーンマドンナの香りが感じられた。


「美味しそ〜。ヒイラギさん、早く食べよ!!」


「あぁ、そうしよう。」


 フォークで切り分けられたレアチーズケーキを一口サイズに分け、口に運ぶ……すると先ず伝わってきたのはネットリと濃厚なクリームチーズの味。

 それをさっぱりと食べさせてくれる、グリーンマドンナの酸味と香り……最高に美味しい物が出来上がったな。


「これ美味し〜、すっごく濃厚。」


「うむ、濃厚ながらも柑橘の香りと酸味が食欲を掻き立てる。魅惑の甘味だ。」


 リコとカリンが美味しく食べているところを眺めていると、フレイがこちらを見てニコリと笑った。


「えへへ、やっぱり美味しくなったね!!」


「あぁ、これならお店で出せる。一先ず普通のレアチーズケーキを出してみて……お客さんの反応を見ようかな。」


 出来上がったレアチーズケーキを味わいながら、カリン達との談笑を楽しむのだった。

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