クリームチーズ


 フレイとともに転送の結晶を使い、エルフの国へとやってきた俺達はリコが運営する牧場へと足を運んでいた。


「よいしょ、さっき搾ってきた牛の乳だけど……これぐらいで足りる?」


 リコはバケツいっぱいに牛乳を搾って持ってきてくれた。もちろんコレも俺がお願いしたことだ。


「十分だ。それじゃあフレイ、始めよう。」


「うん!!」


 まずはフレイに先程搾ったばかりの牛乳を沸騰させてもらう。念の為の殺菌だ。その間に、俺はレモモの実から果汁を搾る。


 牛乳が一度沸騰したら、火を止めて少し冷ましてからレモモの搾り汁を回し入れて、かき混ぜる。

 すると、だんだんと牛乳が分離して固形と液体に分かれていく。この牛乳と分離して固まっているものが、所謂カッテージチーズと呼ばれるものだ。


「牛乳にレモモの果汁を入れるとこんな風になるんだ。」


 興味津々といった様子で、フレイは鍋に入った牛乳を見つめている。


「この分離したやつがカッテージチーズっていうチーズなんだ。」


「へぇ〜、次はこれをどうするの?」


「次は裏ごして、しっかりと水分を切るんだ。」


 目の細かい布で裏ごして、チーズから水分を抜くように思い切り絞る。すると、カッテージチーズが一つの塊となって、舌触りもネットリとしたものになるのだ。


「後はここから更に水分を抜くために、重しをして1時間ぐらい放置しよう。」


 更に重しをして1時間放置することによって、チーズの中にある水分を極限まで抜いていく。


 1時間経って、しっかりと水分が抜けたところで次の作業に移る。


「よし、後はこれを滑らかにするために徹底的に混ぜる。」


 ホイッパーを使って、チーズが滑らかになるまで徹底的に混ぜる。最後に目の細かい裏ごし器で濾してやれば……。


「お手製クリームチーズの完成だ。」


「クリームチーズってこうやって作るんだ〜。覚えとこ。」


 フレイは今までの工程を、自分のメモ帳にサラサラとメモしていく。その途中であることに気がついた。


「あ、クリームチーズを作ったってことは……もしかして!!」


「その通り、コレを使ってレアチーズケーキを作るぞ。」


 クリームチーズは、牛乳と酸性の液体があれば作ることができる。工程も一度覚えれば簡単だし、社員のエルフ達でも作れるだろう。


 それにレアチーズケーキとなれば、バリエーションも色々と分けることができる。

 例えば、ベリリのような果実をジャムにして上にかけたり……フレッシュな果物をクリームチーズの中に混ぜ込んで凍らせて、アイスチーズケーキも作ることができる。


「さ、材料も揃ったから早速試作しよう。」


 後はミルタさんから買ったこのって果実と、クリームチーズを合体させてどうなるか……試してみよう。

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