三種族が会する大宴会
全ての料理が完成したところで、メイドさん達と共に出来上がった料理を宴会会場へと運ぶ。
「失礼いたします。お料理が完成いたしました。」
「おおっ!!来たかっ!!」
料理が会場に運ばれて来るやいなや、目を輝かせながらシンが席を立ってこちらへと走ってくる。
「手をかけさせてすまんなヒイラギ。」
「いや、いいんだ。ちょうど久しぶりにたくさん料理を作りたかったから。」
ここ最近は、ドーナ達が朝昼晩と料理を作ってくれるからな。めっきり俺の出番が減ってしまっていたのだ。
「それにしても、シンらしくない食材の選択だったな。てっきり肉を多く用意してるものだと思っていたんだが。」
「肉は毎日のようにメイド達が振る舞ってくれるからな。今宵は、魚の気分だったというわけだ。」
「納得。」
そしてメイドさん達が各テーブルに料理を並べ、鍋を加熱するコンロに火をつけたところで、シンが会場に響く声で話し始める。
「皆々集まってくれて感謝する。先日決定した、実に100年ぶりとなる三種族の交流の再開を、我はとても嬉しく思う。再び築かれたこの種族を超えた繋がりを二度と切れぬよう強く……太くする為、今宵は種族関係なく酒を飲み、話し、交流を深めてほしいと思う。」
そう真剣な表情で口上を述べた後、彼は一つ咳払いをして酒の入った盃を手に取った。
「長々と真面目に話してしまったが……宴が始まった後は、堅苦しいことは無しだ!!とにかく美味い酒と料理を楽しんでくれ!!乾杯である!!」
そしてシンの掛け声で、皆一斉に手元の酒を飲み、宴会は始まった。キンキンに冷えた芋酒を飲み干すと、背後からアンネ達がお酒を手にしてやって来た。
「ヒイラギ社長!!私達からも一杯どうぞ!!」
「ひ、日頃の感謝を込めますよぉ〜。」
「アタシからも……い、いつもありがとう社長。」
「みんな、ありがとう。」
アンネ達一人一人からお酒を注いでもらって、それを飲み干すと、彼女達はニコリと笑ってこちらに手を振りながら自分達のテーブルへと戻っていった。
彼女達に触発されたのか、他の社員エルフ達も皆俺の盃にお酒を注ぎに来てくれた為、宴会が始まってすぐにかなりの量の酒を飲むこととなってしまった。
「随分最初から飛ばすではないかヒイラギ。」
「せっかく社員のみんなが注いでくれたんだ。飲まないわけにはいかないだろ。」
「くく……これは好機である。今日という今日は酔いつぶれさせてやるぞ!!」
畳み掛けるように、シンは空になっていた俺の盃に酒を注いでくる。
流石にちょっと今日ばかりは不味いかもしれないな。
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