大トロステーキ


 ブラックファッティを柵取りした後は、お造り用に切り分ける。それもまた、メイドさん達に盛り付けてもらった。


「次は〜……ルビーブリムか。」


 ルビーブリムは野菜と一緒にカルパッチョにしよう。そうすればエルフも食べやすいだろうし。


 またまた柵取りしたルビーブリムを薄く切り、盛り付け担当のメイドさんの元へ持って行く。


「次は、このルビーブリムの身をこう……花みたいに並べて、その上に薄切りにしたオニオスと、輪切りにしたレモモを並べるんだ。」


 オニオスはこの国で採れる玉ねぎみたいな野菜で、レモモはエルフの国で採れる、めちゃくちゃ酸っぱい柑橘系の果実だ。


「そして、最後に塩と胡椒を満遍なく散らせば完成だ。これは出来上がり次第、隣の食料庫で冷やしておいてくれ。」


「かしこまりました。」


 盛り付けは任せて、俺はまた次の仕込みを始める。


「次はこのブラックファッティの大トロを使おう。」


 贅沢に、分厚く切ったブラックファッティの大トロに塩と胡椒を振って、熱く熱したフライパンで焼く。

 肉が好きな人も、もちろんいるだろうからそんな人達のニーズに対応するために、今回はこの大トロの部分をステーキにする。


「このブラックファッティ自体が生で食べられるものだから……焼き加減はレアで止めよう。」


 大トロ部分全面に焼き色を付けたら、すぐにフライパンから引き上げ、常温で少し落ち着かせる。

 その後、一口サイズに切り分けたら皿に盛り付けて、上からガーリックバター醤油ソースをかけて完成だ。


 ガーリックバター醤油の作り方は、バターで薄切りにしたニンニクをじっくりと炒め、ニンニクがキツネ色になったら鍋の縁から醤油を回し入れれば完成する。


「後は最後にフルーツ盛りを作って、料理は以上だな。」


 今日の宴会のメニューは、アンゴロウの鍋、ブラックファッティの大トロステーキ及びお造り、ルビーブリムのカルパッチョ、フルーツの盛り合わせの全5品構成だ。

 鍋の締めには、もちろんご飯も炊いてあるから、お腹いっぱいにならない……なんてことにはならないだろう。


「さて、まずはこいつから切ってみよう。」


 最初に切る果物は、マーレへの道中で採取したパイナップルのような果物だ。この果物は不思議なことに、熟せば熟すほど実が大きくなってしまったのだ。


 さてさて、どんな味なのだろうか……。


 俺は好奇心で胸をいっぱいにしながら、レヴァを果実に当てた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る