転生料理人の異世界探求記

エルフと人間の酒盛り

　いざ酒宴が始まると、こちらのお酒が飲める面々へカリンが直々に酒を注ぎ、かなりのペースでお酒を飲ませていた。

「社長、飲んでいるか？」

　空になっていたコップにお酒を注ぎ終えたカリンが、俺の隣にドカリと座る。

「え、まぁほどほどに。」

　用意されていたお酒は、果実酒や穀物を発酵させて作ったお酒。どちらも美味しいが、なかなかにアルコール度数は高いようで、ハイペースで飲むと潰れる可能性は大いにあり得る。

「エルフの酒はどうだ？口に合ったか？」

「風味が豊かで、すごく美味しいですよ。」

　今コップに入っていた果実酒を、俺はクイッと飲み干した。

「良い飲みっぷりだ。此方がもう一杯注いでくれよう。」

　そしてカリンがもう一杯コップにお酒を注いでくれた。

「にしても、そなたのことを話すフィースタは楽しそうだの。そうは思わんか社長よ。」

　隣に座ったカリンが、向こうのテーブルで楽しそうにラン達と話しているフィースタを眺めながら言った。

「そうかもしれませんね。」

「まさかこうしてまた、人間と共に酒を飲める日が来るとは……この100年間は夢にも思ってなかったな。」

　楽しそうに話すフィースタ達を眺めて、嬉しそうに笑いながらカリンは俺の隣で酒を飲んだ。

　すると、何かに気が付いたようで自分が飲んでいる酒をじっと見つめながら、俺にある事を問いかけてくる。

「なぁ、社長よ。」

「どうしました？」

「この酒で何か甘味は作れないだろうか？」

「お酒でお菓子ですか……作れますよ。」

「誠か！？」

　お酒を使ったお菓子というのは、案外たくさんレシピがあるものだ。

「それは是非とも食ってみたいぞ！！」

「となると、後でお酒を製造してる現場を見たいですね。」

「良いぞ、それは此方が話をつけておこう。」

　お酒を使ったお菓子が作れるとわかると、カリンはひどく上機嫌になった。

　この穀物を発酵させたお酒の粕を大福の生地に混ぜ込んだりして、酒粕大福なんてのもいいかもな。

　どんなお菓子を作ろうかと、頭で考えていると……。すっかり酔いが回って、潰れてしまったラン達を介抱し終えたフィースタが俺の隣に座った。