カリン主催の酒宴


 ノックされた扉を開けると、そこにはフィースタが立っていた。


「お楽しみの最中失礼します。」


「いやいや、全然大丈夫だから。で、どうしたんだ?」


「カリン様が皆様を招いて酒宴をしたいと仰っているのですが……。」


「わかった。すぐ行くよ。」


 みんなに声をかけると、すぐに準備を整えてぞろぞろと集まってきた。


「あ!!あなたがヒイラギの面倒を見てくれた人よね?」


「そ、そんなに大層なことはしてませんよ。ただ、ご飯を作ったりしていただけです。」


 少し照れながら、フィースタはそう言った。


「謙遜しちゃって〜、後でお話聞かせてね?」


「あ……も、もちろんです。そ、それでは参りましょうか。」


 普段と少し様子の違うフィースタの後に続いて、カリンが酒宴を開いてくれるという場所へと向かう。


「おっ!!社長、そしてそのお仲間の方々……よく参られた。この国で最も美味い酒を用意した故、今宵は存分に楽しんで欲しいぞ。」


「お酒っ!!」


「いいねぇ、こういうめでたい日に飲む酒は格別だよ。」


「二人とも程々にな……。」


 ランとドーナは酔っ払うと、なかなかに扱いが難しいからな。


「お酒は私も飲めるわよ!!」


「お姉様はすぐ酔っ払っちゃうでしょ。」


 そんなツッコミを入れられているリリン。彼女は獣人族の国の宴会で潰れていた前科があるからな。


 たくさん用意されたお酒と、この国ならではの料理にみんなが興奮していると、シアとメリッサの元へカリンが歩み寄ってくる。


「童らも楽しめるように、酒精の入っていない飲み物も用意した。」


「お姉さんありがとう!!」


「ありがと…。」


「おぉ〜!!お姉さんとは……何百年ぶりにそう呼ばれたなぁ。」


 愛おしそうに、カリンはシアとメリッサの事を撫でている。すると、メリッサの頭の上に乗っかっていたハチに気がついた。


「む?そのハチは……。」


「わたしの…はいか。」


「ほぅ!!このハチの主はそなただったのか。つい昨日、世話になったぞ。」


「わたしの…はいか…ゆうのう…ゆうしゅう。」


 嬉しそうにメリッサは誇っている。


 そしてカリンは一人一人と挨拶を交わしていくと……ある一人の前でピタリと固まった。


「むむ!?その魔力……そなたはもしやクリスタルドラゴンではないか?」


「ようやく気づいたかカリンよ。久しぶりじゃなぁ〜。」


「数百年ぶりだぞ!!今は社長と共にいるのだな。」


「主はワシのツガイなのじゃ。」


「なんとなんと!!」


 カリンとレイは知り合いだったらしく、久しぶりの出会いで話に花を咲かせていた。


 ミクモとも知り合いだったし、更にはカリンとまでもしりあいだったとは……レイの人脈は意外と広いのかもしれない。


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