エルフの国に招かれたヒイラギ一行
再びエルフとの交流を始めるに当たって、互いの種族間でこのような規則が生まれた。
①当面の間、最長老カリンもしくは国長フィースタが認めた者以外のエルフ国への入国は禁止。
②エルフが他国へ入国する場合、必ず護衛をその国から選出すること。
③他国に訪れたエルフの動向は、1時間毎に護衛の兵士が記録すること。
その他にも色々と取り決められたのだが、絶対遵守すべきはこの3つ。1つ目はカリンがエートリヒ達へと提示した条件だ。
2つ目と3つ目は、他国に訪れたエルフが悪しき輩に襲撃されたり、攫われたりされないようにするためのもの。そして仮に問題が発生しても即座に対応するために、3つ目の規則が存在する。
エルフが安全に人間の国と獣人族の国を行き来できるように定められた規則には、カリンもフィースタもかなり満足しているようで、文句の一つも彼女達の口から出ることはなかった。
そして実に100年ぶりとなる三種族の面会が終わると、俺とドーナ達はカリンにエルフの国へと招かれることになった。
カリン曰く、『社長の仲間ならば信用に値するし、何よりこちらが迷惑をかけてしまった。それに対する贖罪も含め、入国を許可する。』とのことだ。
その贖罪の一つなのか……エルフの国へと招かれた俺達に、カリンは一つ屋敷をくれた。その屋敷で俺はドーナ達に、エルフの国で何をやっていたのかを話していた。
「まぁ、そんなことがあってこの国でお菓子の会社を作ったんだ。」
「つまり、エルフの胃袋もガッチリ掴んじゃったってわけね?」
「排他的だったエルフも、ヒイラギの作るお菓子の魅力には抗えなかったって訳だねぇ。」
「それもこれも、フィースタが協力してくれたり……エルフの中にも、人間に対して一定の理解をしてくれる人がいたから実現できた。」
これも巡り合わせが良かったからこそ、こんなことが実現できた。本当にフィースタとリコには感謝しないとな。
「ちなみに一つ聞きたいんだけど……そのヒイラギが手掛けたお菓子ってどこで買えるの?」
「すぐそこで売ってるよ。あ〜でも、そろそろ売り切れる頃かな。」
時刻はもう既に夕刻へと近付いている。この時間になると、そろそろ売り切れる時間なのだ。
「明日にでもみんなで行ってみるか。」
「シア、お兄さんのお菓子食べたいっ!!」
「わたしもっ!」
三種族での面会が終わってからというものの、シアとメリッサは俺にくっついて離れない。それだけ寂しい思いをさせてしまったのは理解しているから、俺はずっと二人の頭をなでていた。
そしてみんなに俺がエルフの国で何をしていたのかを話していると、屋敷の扉がコンコンと優しくノックされた。
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