一ヶ月ぶりの再会


 地鳴りのする方を振り返ってみると……目の前にシアの顔があった。


「お兄さーーーん!!」


「ただい……うぐぉっ!!」


 こちらへと飛び込んできたシアの勢いを受け止めきれず、俺はそのまま王宮の外壁に叩きつけられた。


「ずっと……ずっと会いたかった!!もう離さない〜っ!!」


「ご、ごめんな?もう離れないから……お、落ち着いて。」


 手加減はなく、全力で抱きしめられているため、メキメキと骨が悲鳴を上げている。必死にシアの頭を撫でながら謝っていると、こちらにドーナ達も追い付いてきた。


「ぱぱっ!!」


「やっと帰ってきたわねヒイラギ〜。」


「こっちに帰ってきたなら、顔を見せてくれたって良いじゃないか。」


「主っ、会いたかったのじゃ〜!!」


「ヒイラギさ〜ん!!お帰りなさい!!」


 みんなにもみくちゃにされていると、リリンとイリス、そしてライラもこちらへ歩いてきた。


「まったく、やっと帰ってきたわね。」


「これでまた妹様の非常食が確保できた。」


「ふふ、皆さん嬉しそうですね。」


 そしてみんなの爆発する感情を一身に受け止め、一先ず落ち着いた所で改めてみんなと向き合った。


「みんな元気そうで安心したよ。ご飯はどうしてた?」


「それならワタシとドーナと、イリスで何とか頑張ったわ!!」


「メリッサに手伝ってもらって、ヒイラギの世界の料理本をたくさん読んで、色々作ったんだよ。」


「私たち、たくさん色んな料理を作れるようになったんですよ。」


「そうだったのか、頑張ったな……ありがとう。」


 この一ヶ月頑張ってくれた三人の頭を撫でた。


「お姉さん達の作ったお料理、とっても美味しかったんだよ!!」


「うん…すっごく…おいしかった。」


「そうかそうか、俺も食べたいな。」


 子供のシアとメリッサがここまで美味しいと言うのであれば、ドーナ達の料理の腕は確かなものになったのだろう。

 どれだけこの一ヶ月で腕を上げたのか……実際に食べさせてもらいたい。


「ヒイラギがたくさんご飯食べさせてくれたら、考えるわ。ねっ?二人とも。」


「そうだねぇ、まずはヒイラギの作った料理が食べたいよ。」


「エルフの国のお話もいっぱい聞かせてくださいね?」


「わかった。」


 そう約束していると、リリンがあることを問いかけてきた。


「ねぇ、私たちの世界樹の雄花はどうなったのかしら?」


「あぁ〜、それなんだけど……。」


「それは此方が説明したほうが早いだろう。」


 そこに現れたカリンは、リリンとフレイに事情を説明すると、ペコリと頭を下げた。


「此方らの我儘で、迷惑をかけてすまなかった。」


「……まぁ、私たちの願いが叶わなかったのは残念だけど。」


「結果的に人助けになったなら、まぁ……いいよね。」


「それにあなたもみたいだし……。」


「む?」


 誠意のこもったカリンの謝罪を受けて、リリン達はエルフの行いを許すことにしたようだ。彼女達の目線がカリンの胸に集中しているような気がするが……まぁ気のせいだろう。

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