王都の賭場


 またしても賭場へと戻ってきたところで、俺はみんなにまたお小遣いを手渡していく。


「夜まではまだ時間がある。ここは賭場らしいから……これで少し遊んで時間をつぶそう。」


 お小遣いを手渡すと、ドーナがかなり困惑した表情を浮かべていた。


「こ、こんなに貰っていいのかい?白金貨一枚も……。」


「あぁ、それで今日の競売に使える軍資金が増えれば御の字だ。」


 この国の富豪が同じものを目的としている可能性だってある。それに対抗するなら、お金は多いほうがいい。仮にもし今渡したお金を賭けで負けてすべて失ったとしても……まだ手持ちのお金は十分にある。

 それゆえに、今は賭けで買った時のメリットの方が大きいから、俺は今みんなに賭けて白金貨を一人一枚を渡したのだ。


「勝っても負けても構わないから、楽しむことだけ考えてくれ。」


 そう言ってから、俺はシアとメリッサの二人の頭に手を置いた。


「二人はドーナの言うことをちゃんと聞いてな?」


「うん!!」


「わかった!」


「いい子だ。それじゃあドーナ、二人のことは頼んだ。」


「任せておくれ。」


「ワタシもよくわからないから、ドーナについてくわ。」


 そしてドーナ達は向こうに歩いていった。


「リリン達はどうする?」


「私はある程度賭け事の知識はあるから……出来るやつをやってみるわ。」


「あ、じゃあボクはお姉様に教えてもらうよ!!絶対増やしてみせるね!!」


 リリン達のことも見送ると、残ったのはレイとイリスのみとなってしまった。


「二人はどうする?」


「ワシは人間の遊びはよくわからんのじゃ。故に主とともに行く。」


「私もヒイラギさんと一緒に遊びます。」


「そっか、じゃあ一緒に回ってみるか。」


 レイとイリスとともに、賭場を回っていると……何やら面白そうな物を発見した。


「お?これは……。」


 目に留まったのは、たくさんの絵柄がピコピコと移り変わっている……いわばスロットのようなもの。遊び方の説明を見る限り、3つ同じ絵柄を揃えればお金が増える仕組みのようだ。


「これなら簡単そうだな。3つ同じ絵柄を揃えれば、お金が増えるみたいだ。」


「これならワシにもできそうじゃな。」


「私でもできそうです。」


「なら、試しにこれを触ってみるか。」


 3人で台の前に置かれた椅子に座り、白金貨を投入した。


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