秘境ヴェール


 ヴェールを探し続けて樹海の上を飛び回ること、小一時間ほどでやっとそれらしい場所を見つけた。


 その近辺に降り立って、近づいてみると……。


「ここで間違いないな。森と一体化した街……ヴェール。」


 目の前に広がっているのは、言葉の通り広大な森と一体化した街。巨木を住居代わりにしていたり、ツリーハウスがあったりと、本当に不思議な場所だ。


「噂には聞いてたけど……本当に森と一つになってるねぇ。」


「ドーナは来たことなかったのか?」


「ずっと来たかったんだけど、なかなか機会に恵まれなくてねぇ。」


「なら、今日は存分に楽しまないとな。」


「もちろんさ!!」


 ドーナとそう話していると、待ちきれなかったのか、リリンとフレイが我先にと駆け出した。


「私達は、例の果実を探してくるわ!!」


「先に行ってるね!!」


「あ、迷子にならないように気をつけるんだぞ〜。」


 駆け出していった二人の後に、しっかりとライラが着いていったから問題はないと思うが……。


「お兄さん!!早く行こ?」


「いろんなところ…みたい!」


「あぁ、行ってみよう。」


 そしてヴェールの街中へと足を踏み入れてみると、至るところで野菜や果物を販売していた。


「おぉ〜、流石は森と一体化した街だな。野菜とか果物の品揃えが市場並みだ。」


 折角こんなに色んな物があるんだ、みんなにも買い物を楽しんでもらおうか。


「みんな、ちょっと集まってくれるか?」


 そう声をかけると、みんな俺の周りに集まってくれた。


「これ、みんなにお小遣いな。」


「いいの!?」


「おかね…いっぱい!」


 色んな物を買えるように少し多めに、みんなにお小遣いを配る。


「こんなに貰っちゃっていいの?」


「あぁ、構わない。自分の好きなものを買ったら良い。」


「わーい!!メリッサちゃん、行こ行こ!!」


「うん…いっぱい…かう!」


 シアとメリッサの二人は早速駆けていった。


「あっ!!アタイ、シア達と一緒に行ってくるよ!!」


「ワタシも一緒に行ってくるわ。」


 駆け出していったシア達を二人が追いかけていく。シア達のことは二人に任せれば問題ないな。


「イリス達はどうする?」


 シア達に置いていかれてしまったグレイスと、残っていたレイとイリスにそう問いかけると……。


「私はヒイラギさんと一緒に回ります♪」


「自分もお金の使い方わかんないっすから、ヒイラギさんと一緒に行くっす!!」


「右に同じくじゃ〜。」


「そっか、それじゃあ一緒に見て回ろうか。」


 そして俺はイリス達とともに、ヴェールの街中を見て回るのだった。

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