温泉の街ホスプ
温泉街ホスプへ向かって、グレイスに飛んでもらうこと1時間弱……突然空気の匂いが変化した。
「ん?この匂いは……硫黄の匂いだ。」
温泉街特有のこの匂いがしてきたということは……そろそろホスプが近い。
「グレイス、下に街は見えないか?」
「もうちょっと先にそれっぽいのが見えるっすね。」
「よし、それじゃあ近くに着陸してくれ。」
「了解っす!!」
そして、人気のない街道からそれた場所に着陸してもらうと、バッグの中で待機していたみんなに声を掛ける。
「みんな着いたぞ〜。」
「着いた!?」
声を掛けると、真っ先にシアが飛び出してきた。それに続いてみんなも続々とバッグから出てくる。
「んしょ…ついた!」
「ん〜、この景色懐かしいねぇ。冒険者時代、何回か来たんだよ。」
ドーナは以前にもここに来たことがあるらしく、景色を見て懐かしんでいた。
「ここの温泉は、火山性温泉なんだな。」
周りを見ると、すぐ近くに火山がある。硫黄の匂いが強いのも火山性温泉故の理由だろう。
「ねぇ、早くいきましょ?ワタシ、すぐにでも温泉に浸かりたい気分なのよ〜。」
「シアも温泉入りた〜い!!」
「ぱぱ…はやく…いこ!」
「あぁ、そうだな。」
そしていざ、街の中へと足を踏み入れると、街の至るところから蒸気が上がっていた。
「な、なんかすごい場所ね……。」
「あちこちから湯気が出てる。熱そ〜。」
普通の街ではまず目にすることはできない光景に、リリンとフレイは驚いていた。
「お?なんじゃこれは……。」
レイが見つけたのは、蒸気の噴出孔に設置された竹編みの籠のようなもの。俺は、それに見覚えがあった。
「もしかして……これは
不穏なワードにレイがビクリと反応する。
「じ、地獄とな!?」
「レイが思ってるほど不穏なものじゃないぞ。」
チラリと横に立てかけてあった看板を見てみると、そこにはこれの使い方が書いてあった。
「ふむ……やっぱりな。」
「主よ、これはなんなのじゃ?」
「これは、この熱い蒸気を使って蒸し料理をする、専用の設備だな。」
食べ物の話題が出ると、すぐにグレイスが反応した。
「これで料理できるっす!?」
「あぁ、試しに野菜とか卵とか入れてみようか。」
竹編みの籠に卵と野菜をいくつか入れて、蒸気の上に置いた。
「これで10分ぐらい待てば、美味しく出来上がってるはずだ。その間にこのあたりのお店を見て回ろう。」
そして温泉の蒸気で蒸し上がるまでの間、温泉街のお土産屋等を見て回るのだった。
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