慰安旅行計画
獣人族の国でいろいろやるべきことを終えて、俺たちは再び人間の国へと戻ってきていた。平和な今のうちに、この国のいろんなところを巡ろうと思い立ったのだ。
とはいえ、残念ながら人間の国に詳しいのは現状ドーナしかいないため、彼女にこの国の良い観光地を聞いている最中だった。
「この国の観光地……まぁすぐに思い浮かんでくる場所はあるよ。」
「本当か?」
「うん、この前寄ったマーレももちろん人気の観光地だったけど、この国にはあと二か所有名な観光地があるんだ。その一つが温泉街ホスプ。」
「温泉か……それは魅力的だなぁ。」
今日までみんな頑張ったし、ここらで慰安旅行ってのも全然ありだ。ハウスキットにあるシャワーだけじゃ、どうしても満たされないものはあるからな。
「ちなみにもう一つは?」
「自然と一体化した街ヴェール。文字通り街と森が一体化してて不思議なところもそうだし、雰囲気が癒されるって、結構人気だよ。」
「森と一体化した街……か。そこに行けば、なにか面白い名物的なものとかあったりするかもな。」
「これは、人づてに聞いた話だけど……なんでもこの国に一本しかない木に実る果実があるとかなんとか。」
「それも魅力的だなぁ……。」
どちらも魅力的となれば、今回の目的は疲れた体を癒すための旅行にしようか。そういう名目にすれば二か所両方行ったってなんの問題もない。今の気分的に、まずは温泉街ホスプに行って疲れを全部お湯に流して来たいな。
その後は、森と一体化したヴェールって街に行って、大自然の中でリフレッシュする……。
「よし、じゃあ早速そのホスプに行ってみよう。」
グレイスが飛んでくれれば、すぐにたどり着けるはずだ。そう決定したところでみんなに声をかけた。
「みんな、今から旅行に行こう。」
「旅行っ!!どこにいくの~?」
「りょこう…たのしみっ!」
「今回は、温泉街ホスプとヴェールって街に行ってみようと思う。」
「あらいいじゃない、ワタシも温泉入りたいわ。」
温泉にはランも結構乗り気の様だ。
「今回の目的は、みんなの疲れた体を癒すことにしようと思ってな。」
「ふふん、さながら王都で活躍した私へのご褒美ってところね。」
誇らしげにリリンが笑うと、そんな彼女にレイが自分のことを指さしながら言った。
「それならワシも活躍したぞ?」
「あんたは操られてたじゃない!!」
「う〜む?そんな記憶はないのじゃ〜。」
リリンのそんな指摘に対して、すっとぼけているレイだった。
斯くして、今まで頑張ってきたことを労うための慰安旅行が決定した。
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