楽しい時間は早く…


 時間というものを忘れて、俺たちはトランプで遊んだ。気が付けば外の雨は上がり、空が夕焼け色に染まっていた。


「もうこんな時間か……綺麗な夕焼けだな。明日はきっと晴れる。」


 これだけ綺麗な夕焼けならば、明日はきっと晴れてくれるだろう。


「トランプ楽しかった!!またやりたい!!」


「うん…すごい…たのしかった。」


「そっか、じゃあ二人にこれはあげるよ。」


 トランプを箱にしまって、シア達に差し出した。


「えっ!?いいの?」


「あぁ、これでいつでもできるだろ?」


「やったぁ!!お兄さんありがとう!!」


「ぱぱ…ありがと!」


 こういうのは俺が持つより、シア達が好きなときに使えるように、二人にあげた方がいい。


「いや~、それにしても楽しかったねぇ~。遊びでこんなにドキドキしたの、久しぶりかもしれないよ。」


「ホントよね、ワタシも思わず夢中になっちゃったわ。」


「ふふっ♪こんなに面白い遊び、神域にいたときはできませんでした。やっぱりヒイラギさんに着いてきて正解でしたね。」


 シア達以外のみんなも、トランプを楽しんでくれたようだ。大人数でやったから、より楽しさも倍増していたんだろうな。


「メリッサちゃん!!あっちでまたトランプやろ?」


「やる!」


 シア達はまたトランプで遊ぶらしい。相当気に入ってくれたようだな。


「さて、そろそろ夕御飯を作らないといけないかな。」


「えっ!?もうそんな時間かい?」


「そうだぞ。」


 今日はそんなに動いてないから、みんなもあまりお腹が減ってないだろう。だから軽めの一品もので十分に満足してくれるはずだ。


「じゃ、ちょっと作ってくるからな。」


「手伝わなくて大丈夫かい?」


「あぁ、今回は問題ない。」


 今回のを手伝われてしまったら、いよいよ俺の仕事がなくなってしまうからな。


 そしてロッカールームでコックコートに着替え、キュッと前掛けを締めて厨房へと向かう。


「さてさて、今日の夕飯はパスタにしよう。」


 本当ならパスタ等の麺類は昼御飯に回したいところだが、今のみんなのお腹の空き具合を考えると、食べやすい麺類にした方がいい。


「そうと決まれば早速仕込むか。」

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