協力者を信じて……


 一先ず肉のことは置いといてだな。それよりも先に報告しなくちゃいけないことがある。


「シン、リリン、今日のことで話がある。」


「例の協力者のことだな?」


「あぁ。」


 そして俺はリリンの前のソファーに座り、協力者達のこと……国王が洗脳魔法が使えることを話した。


「洗脳魔法……思っていたより厄介そうね。」


「その洗脳を解いた協力者は王都へ戻ったのか?」


「あぁ、数日後に開かれる潮祭って祭りの時に、もう一度ここに戻ってくる手筈になってる。」


「大丈夫なの?もう一回洗脳されたりしない?」


 リリンの懸念は尤もだ。だから念のため国王には会わないよう釘を刺してはおいたが……万が一という可能性がある。


「一応国王には会わないようにと言っておいたから、多分大丈夫なはずだ。」


「そうなの。」


 リリンの顔からは不安の色が消えない。


「では今のところは、その協力者達を信じるしかない……というわけか。」


「そういうことだ。」


 シンの言うとおり今は彼らを信じるしかない。歯がゆいけどな。


「まさかまた人間を信じることになるなんてね……。」


 ため息混じりにリリンは言った。


「まぁいいわ。信じるしかないなら信じるわよ。」


「きっと彼らならやってくれるさ。」


 報告を終えて、チラリと外を見ると陽が沈み始めていた。もうこんな時間か……少し話し込んでしまったようだな。


「今日の報告は以上だ。俺は今から晩御飯を作ってくる。」


「今日の晩御飯は何なの?」


「それは出てきてからのお楽しみってヤツだな。」


 そして、いつも通りロッカールームへと向かった。ハンガーにかけられた、着なれたコックコートを身に纏い、前掛けをキュッと締める。


 いざコックコートに着替えて、厨房へと向かうとそこには……。


「えへへぇ~バッチリだね!!」


「うん…ばっちり。」


 シアとメリッサの二人がハイタッチしている姿があった。何をしていたのだろうか?


「二人とも何してるんだ?」


「あっ!!お兄さん、今メリッサちゃんと一緒にお米研いでたの~。」


「もう…すいっち…おした。」


 どうやらお米を研いで炊飯器にセットしていたらしい。なんて仕事ができる子供なんだ……思わず感動してしまう。


「偉いぞ二人とも、ありがとう。」


 ポンポンと二人の頭を撫でて褒める。さ、次は俺の番だな。

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