ベリリゼリーのレアチーズケーキ


 ミルタさんから目的の人物に繋がる情報を得られたところで、俺はお礼をすることにした。


「今日は忙しいところ、ありがとうございました。これ、良かったら食べてみてください。」


 俺はバッグから、交渉用にストックしているケーキのうち一つを取り出して、ミルタさんに差し出す。


「おぉ!!これはまたいつもありがとうございます。」


「今回のはレアチーズケーキです。上の赤いゼリーはベリリの実で作ったジャムを固めたもので、一緒に食べてみてください。」


「これはチーズなのですか!?」


 チーズケーキというワードに、ミルタさんはすごく驚いていた。


 この世界の一般的なチーズというものをまだ見たことがないから、何で驚いているのかはわからないが……。多分チーズのイメージとは違ったんだろうな。


「簡単に言ってしまうと、そのケーキは溶かしたお菓子用のチーズとクリームを混ぜて固めたものなんです。」


「チーズがお菓子に……いやはや驚きですな。」


 ミルタさんにケーキの説明をしていると、左右から服の袖を引っ張られた。


「ぱぱ…あれ…わたしも…たべたい!」


「シアもっ!!」


「じゃあ今日のおやつの時間は、みんなでケーキを食べるか。」


「「やった!!」」


 シアとメリッサがハイタッチして喜び合う。


 そんな様子を見て、ポツリとミルタさんが呟いた。


「おやつでこんなものを食べられるなんて、羨ましい限りですな。」


「そんなことありませんよ。このぐらいだったら簡単に作れますから。」


 俺の言葉にミルタさんの表情が固まる。なにか不味いことでも言ったかな?


「こ、これを簡単に作れるというのですか!?」


「え?は、はい……。」


 ある程度の技術は必要だが、分量と工程さえ間違えなければ、誰だってある程度ケーキは形になる……と思うんだが。

 パイ生地みたいに、温度とか湿度が重要になってくる難しいお菓子じゃないし……。


「よ、良ければ今度作り方をご教示していただけませんかな?もちろんタダでとは言いません。」


「え、えっと……別にタダでいいですよ?今回協力してもらいましたから。」


「よ、よいのですかな!?」


「えぇ、大丈夫ですよ。」


 俺が二つ返事で了承すると、ミルタさんは思わずガッツポーズして喜んでいた。


 

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