人間と獣人の未来のために
エンリコの処遇が決まった所で、次の予定についてシンに話題を持ちかけた。
「次は……大臣達と会議をするんだったか?」
「うむ、そこで我は大臣衆にヒイラギと共に人間の国へ行くことを伝えようと思う。」
果たして賛成する人は何人いるんだろうか……。反対多数になる未来が見えてしまう。
「獣人のあなたが人間の国になんて行ったら、それこそ大変なことになるんじゃない?」
「公には姿は現さぬ予定だ。我はあくまでも人間の王と腹を割って話したい……それだけなのだ。」
「ふぅん……まぁ私は別に反対しないけど。あなたの好きにしたらいいんじゃない?」
リリンも反対はしないらしい。
「うむ、では円卓の間に行くとするか。」
「円卓の間って前に三人で話したところだよな?」
「うむ、重要な会議をするときはあそこと決まっておるのだ。」
シンが席を立ち上がり扉を開ける。そしてレイラに話しかけた。
「大臣衆は集まっているか?」
「はい、先ほど皆様方お集まりになったようでございます。」
「では我らも行こう。案内してくれ。」
「かしこまりました。」
俺とリリンもシンとレイラの後に続いた。そして王宮の中を進み、以前同盟を結んだ円卓の部屋の前にたどり着く。
「レイラご苦労だった。」
シンが扉を押し開き中へと入り、一番奥の大きな椅子に腰かけた。
俺とリリンもそれに続いて部屋の中へ入り、空いていた椅子に腰かけた。
ふと周りを見渡すと、見たことがある羊の獣人と狼の獣人の姿も見てとれた。
「皆、朝早くから集まってくれたことに礼を言う。今回集まってもらったのは他でもない、我が国の今後について話し合う為だ。だが、本題に入る前に……。」
シンは一旦話すのをやめて一人立ち上がった。
「ヒイラギ、リリン……此度は我が国を救うために彼の魔物を討伐してくれたこと、本当に助かった。感謝する。」
立ち上がったシンはこちら向かってペコリと頭を下げた。自分達の王が頭を下げている事態に、他の大臣の獣人達はざわめきながらも、シンに続くように彼らも俺とリリンに向かって頭を下げ始めた。
「み、みんなひとまず頭を上げてくれ。」
「そうよ、別に私達はあなた達を救うためだけに戦った訳じゃないわ。まぁでも素直に感謝は受け取っておくけれどね。」
俺達の言葉でみんな改めて席につき、ようやく会議が始まった。
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