スケイルフルーツ


 まな板の上にスケイルフルーツを置いて少し観察してみる。


(見れば見るほどドラゴンフルーツだな。ただ少しこっちの方がツヤがある……ような気もする。)


「ひとまず半分に割ってみようか。」


 そして包丁で半分に切ろうとすると……。


「硬った!!包丁入んないぞこれっ。」


 日本で流通していたドラゴンフルーツとは違い圧倒的に表皮が硬い。これ普通に売ってたけど、みんなどうやって割ってるんだろうな。


「仕方ない…無理にやって包丁を傷めるのは嫌だから、アレを使うか。」


 バッグの中に手を入れて魔包丁レヴァを取り出した。これだったら流石に切れるはずだ。


 レヴァを握って魔力を流し、もう一度スケイルフルーツに包丁を当てると…スッと先ほどの硬さがまるで嘘のように簡単に刃が入った。

 そしてスケイルフルーツを半分に割って断面を見ると…。


「ほぉ、中身の色は黄色だったか。」


 意外にも中身は綺麗な黄色い果肉がギッチリ詰まっていた。それにただ切っただけで断面に大量の水分が付着している。果肉がたっぷり水分を含んでいる証拠だ。


「味見してみたいが…今は我慢しよう。」


 本当は今すぐにでも少し食べてみたいが、その欲求をぐっとこらえスケイルフルーツの果肉だけを四角く切り揃える。

 そして透明な器にゴロゴロと盛り付けてラップして冷蔵庫に入れておく。


「さて、そろそろこっちはオムナポリタンの仕込みをしていくか。」


 ナポリタンに使う具材は前回作ったナポリタンと同じ。野菜を切りながら、火口でパスタを茹でるお湯を沸かす。


「オムレツの卵は大量に……。」


 大きなボウルに卵をたくさん割りいれて、牛乳、生クリーム、パルメザンチーズで味付けする。これで仕込みは終了だ。


「ちょうど沸いてきたな。じゃあナポリタンを仕上げるか。」


 オリーブオイルでベーコンと野菜を炒めてしんなりしてきたらケチャップ、塩、ブラックペッパーで味を整えパスタソースを作る。

 後はこれをゆであがったパスタと絡めてナポリタンは完成だ。


「一回皿にナポリタンを盛り付けて……次にオムレツをやろう。」


 ナポリタンを盛り付けた後、素早くオムレツの準備をする。油を馴染ませたフライパンを温めバターを入れる。

 バターが溶けて液状になったところで卵液を流し入れてオムレツを作っていく。あとはできたところからナポリタンの上にオムレツをのせて……完成だ。


「ふぅ、久しぶりにこんなにオムレツを作ったかもな。」


 こっちに来てからオーダー仕事は全然やってなかったからな。働いてた頃は何回か大量にオムレツを作る時があったんだが……。


 こちらが終わったタイミングで、チラッとドーナ達を見る。あちらももう終わりそうだ。

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