仙狐ミクモ
俺は先ほどジルから聞いたミクモのことについて彼女に直接聞いてみることにした。
「そういえば、さっきミストゴートを解体してもらった店の店主に聞いたんだが……。」
「ミストゴートを解体できるとなると、ジルかの?」
「あぁ、彼に聞いた話だとミクモはシンの師匠なんだってな?」
「昔の話じゃ、それこそシン坊が何歳かの~…20歳ぐらいまで稽古はつけてやったの。懐かしい話じゃ。」
「シンは今何歳なんだ?」
「今年で28ではなかったか。」
普通に気兼ねなく話していたが結構年上だったんだな。
「もうひとつ聞きたいことがある。ミクモは100年前にミストゴートを討伐してるよな?」
「何でそれを知ってるのじゃ?」
「これもジルが教えてくれたよ。」
多分あまり知る人のいない事柄だったのだろう。100年前の出荷記録なんて残している方が稀だからな。
「100年前っていったらちょうど三種族が共存していた時代だろ?その時のことについて少し教えてくれないか?」
「……ふむ別に教えてもよいが、その前にひとつ質問じゃ。お主は何を目指しておるのじゃ?」
「単純な話だ。もう一度三種族が共存できる世界を作りたい……それだけ。」
そんな世界がもう一度戻れば、各々の土地でしか取れない食材も流通するようになるはずだからな。
「その世界を作る道中が、凶悪な茨に覆われた道だとしてもお主は諦めぬのか?」
「当たり前だ。」
ミクモの質問に即答すると、彼女はクスリと笑いながら言う。
「100年前もお主みたいな人間が多かったら、きっとこんなことにはならなかったのじゃがのぉ~。まぁ少し興が乗った……。妾が知っておることについて少し話してやろう。」
「助かる。……無粋な質問をするようだが、100年前もミクモは生きてたってことは今何歳なんだ?」
「100から先は数えるのをやめたのじゃ。妾は単なる狐の獣人ではない。
仙狐……確か狐の妖怪の最上位だったっけ?どこかの伝承で見たような気がする。でも妖怪に近い獣人なら寿命が長いのも頷ける理由だ。
「まぁ、無駄に長生きしてもいいことはなんもないがの。さてさて、何から話したものかのぉ~。根本的なところからいくか。」
そしてミクモは100年前の出来事を少しずつ語り始めた。
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