動き始めるモノ
ドーナ達には先に部屋に戻ってもらい、ハウスキットに残ったのは俺とシンとリリン、そしてイリスとなっていた。
「それで、話って?」
「アイツ等…遂に動き始めたみたい。」
リリンが言うアイツ等とは、間違いなく死の女神の手先のことだろう。
やっぱり平和な時間って長くは続かないんだな。もう少しこんな日々を謳歌したかったが……。
「今わかっている情報は?」
「私が掴んでいるのは、来る幹部は
幹部全員で来られるより圧倒的に勝率は上がったな。
だが間違ってはいけない、一人で来るということは……相手は単独で戦って勝つ自信があるということだからな。
「一人だとしても決して油断はできそうにないな。」
「うむ、その意見には我も同感だ。」
「えぇ、でもこれは絶好の好機よ。うまくいけば死の女神の戦力を大幅に削げるかもしれないわ。」
どうにかしてその幹部を倒すことができれば、間違いなく死の女神にとっては大きな痛手になるだろう。
幹部クラスの魔物はそう簡単に生み出せないだろうしな。
「ちなみに、リリンはそいつに関して他に何か情報を持ってたりしないか?」
「残念だけど、わからない。今まで幹部の椅子に座ってる奴らが自ら動いてるところは見たことないの。だからどんなスキルを持ってるのかも……わからない。」
「そうか。」
困ったな……。これでは対策を練ろうにも、どんな対策を練れば良いのかわからない。
「ただ、幸いなことにこっちには人手があるわ。ドーナとランの二人もある程度は戦えるでしょ?」
「まぁ……そうだが。相手は敵の幹部なんだろ?それを相手にしながら、俺はみんなを守ることはできないと思う。」
そんな俺の言葉にポカン……とした表情をリリンは一瞬浮かべると、次の瞬間俺の頬を思いっきりつねってきた。
「いてててててッ!!」
「あのねぇ、ヒイラギ。あなたは心配し過ぎッ!!自分の身を自分で守ることぐらい、あの二人はできるわ!!」
「で、でもだな……。」
「あなたを一回殺してる私が言ってるのよ!?できるの〜〜〜っ!!」
頬をつねられたままブンブンと振り回され、手が離された頃には頬が真っ赤に腫れていた。
そして今度リリンは俺をビシッと指さして、あることを命じてきた。
「ヒイラギ、あなたは残りの短い時間であの二人をできる限り強くしなさい!!もちろんあなた自身も強くならなきゃダメよ。」
「む、無茶言ってくれるなぁ……。」
「無茶でもやらなきゃいけないのよ。
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