獣人族の国民的スポーツ


 ズルズルとドーナに引きずられながら、子供達が走っていった方向へ進んでいくと……。


「ここ~!!着いたよ!!」


 案内された場所は何かの施設のようだ。中からはガタン…ガタン…と不思議な音がする。


「ここはどんな場所なんだい?」


「んーとね、ボールを投げて遊ぶ場所!!」


「ボールを投げて遊ぶ?」


 ドーナはいまいちわかっていない様子だが、まぁ入ってみれば分かるだろう。


「そっか、ありがとう。さっそく遊んでみるよ。」


 お礼に俺が獣人の子供の頭をポンポンと撫でていると、背筋にゾクゾクっと寒気が走った。


「うっ!?な、なんだ今の寒気は……。」


 キョロキョロと周りを見てみると物陰からシアがこちらをジッ…と見ていたのに気が付いた。後でちゃんと構ってあげないと、恐ろしいことになりそうな予感がする。


「どうかしたのかい?」


「あ、いやなんでもない。中へ入ってみようか。」


 シア達がついてきている事をドーナに気取られない為にさっさと中へ入った。中へ入ると受付があり、奥でボールを投げている人が見える。


「これは人間の勇者様。ようこそいらっしゃいました。」


 受付にいた熊の獣人がこちらに気が付いて話しかけてきた。さっそくここについて聞いてみようか。


「奥でボールを投げているのが見えるんだが、ここはどんな場所なんだ?」


「ここは私達獣人族の国民的スポーツ、の施設になっております。」


「ボリング?」


「はい、簡単に説明致しますと…このくらいの大きさのボールを投げて全部で10本あるピンを倒すスポーツです。」


 おう、完全にボウリングだな。日本ではボウリングなんてやったことなかったからな。ボウリング初体験は、こちらの世界で経験することになりそうだ。


「どうするドーナ、やってみるか?」


「なかなか面白そうだしねぇ、いっちょやってみるかい!!」


「それじゃあ二人でお願いするよ。」


「かしこまりました。ゲーム数を指定してその数だけボールを投げるプランと、無制限のにお遊びいただけるプランがございますが、どちらに致しますか?」


 せっかくだし長く楽しみたいよな…。


「無制限で頼む。」


「かしこまりました。」


 そして俺達は受付でボールを借りて指定された場所へと向かった。さてさて、ドーナと一勝負するか。

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