完璧メイドの知られざる秘密

レイラside


 ヒイラギ様が大浴場へ入った音を確認した私は衣服の交換のために中へと入った。


「スンスン…ヒイラギ様の匂いはこっちね」


 自慢の鼻で匂いをたどり、衣服を脱いで入れてある籠を探し当てる。


「ヒイラギ様は以前もこうしてキチンと脱いだ衣服を畳んでいらっしゃったわね。」


 本当に礼儀正しい御方。キチッと折り畳まれた衣服を回収し、洗濯を終えたヒイラギ様がお召しになっていた衣服を代わりに入れる。


「これで大丈夫ね。」


 私は脱衣場を後にして衣服を洗濯するための部屋へと向かった。


「だ、誰も周りには……いないわね?」


 キョロキョロと周りに誰も居ないことを念入りに確認した。そして私はヒイラギ様が先程までお召しになっていた服の匂いを堪能する。


「スンスン、スンスン……。はわぁ~、やっぱりヒイラギ様はいい匂いね。」


 これが誰にも言えない私の秘密……いけないことなのはわかっているけれど、どうしてもこの欲求には逆らえない。


「いけないってわかってるけど…。すぅ~…はぁ~…どうしても止められないわ。」


 特にヒイラギ様の匂いは、私の好きな強いオスの匂いだから余計に止められない。今まで色んな匂いを嗅いできたけれどその中でも断トツ……。


「だってこんなのズルいわ……こんなのメスなら逆らえな…ふわぁ~。」


 秘密の時間を堪能していると、ヒイラギ様の入っている大浴場からバシャッ……と水の弾ける音が聞こえ、私はハッ…と正気に戻る。


「はっ、いけない。名残惜しいけれどそろそろ洗わないといけないわ……でも最後に一回だけ。」


 スーッと大きく最後に匂いを吸い込み、私は衣服を洗濯しに向かう。しっかりと洗った衣服をパンパンとしっかりとシワを伸ばして、陽向に服を吊るした。


「これで良し。」


 絶対に私の秘密を知られるわけにはいかない。だからこそメイドとしての役目はきっちりと果たさないといけない。

 あくまでも、この時間は私へのご褒美の時間。メイドの仕事とご褒美の時間の区別をきっちりとつけなければ、変な疑いをかけられてしまう恐れもある。


「さて、それじゃあヒイラギ様をお迎えに行きましょう。」


 ご褒美を楽しんでいた自分から厳格なメイドの自分に切り替え、コツコツと足音を鳴らしながら廊下を進み大浴場を目指した。

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