ヒイラギ教官
「というわけで、ちょっと頼んでいいか?」
「うむ、我からもお願いするのだ。」
ベルグとシンはそう言いながらこちらを見てきた。
そして兵士達から注がれる眩しい位にキラキラ光る目線…いい歳した男共にそんな目で見られても背筋がぞわぞわするだけだ。
「わかった、引き受けよう。だが俺が教えられるのは素手での戦い方だけだからな?」
「助かるぜ、まず何からやるんだ?」
ベルグはどんな事をするのか楽しみでしかたがない様子だが…物事には順序というものがある。
「取りあえず先にいくつか確認させてくれ。まず一つ、さっき木刀で打ち合ってるのは見たが、徒手での訓練はしてないのか?」
これは俺が教える上でかなり大切な部分になってくる。徒手での訓練をしていないなら、まずは型から入らないといけないからな。教える内容を決める重要な部分なのだ。
「いや、そこもちゃんとやっている。剣の訓練より短いがな。」
「なるほど、じゃあ次の質問だ。基本となっている武術とかはあるのか?」
これも重要な質問で、もし仮にあるとしたらできるだけその武術の形を壊さないようにしたい。今までそれで続けてきたのだから、急に構え等を別のものに変更してしまうと動きが阻害されてしまう可能性がある。
「あぁ、一応シン様と同じ武術を取り入れている。」
そうか、ならそれはできるだけ崩さずにいこう。
「わかった。それじゃあ始めようか。」
「おう、まず何からやるんだ?」
「そうだな、試しに皆構えてみてくれないか?」
そう言うと兵士達は一斉に構えをとった。
「その状態で軽く力を抜いてくれ、緊張するのはわかるが力みすぎてると動けなくなるぞ?」
アドバイス通り、兵士達は脱力しようとするがいまいち上手くいっていない。脱力しようとして構えが崩れてしまっている者もいるな。
「いいか?力を抜くとは言ったが構えをとるのに必要最低限の力は残しておくんだぞ?脱力しても構えが崩れたら意味無いだろ?」
兵士達を一人一人見て回り、崩れた構えを修正していった。何せ人数が多い、それだけで時間をくってしまった。
「よし、それじゃあその状態をしばらく維持してみてくれ。」
まぁ、一時間位構えをとりつづければ多少勝手がわかってくるだろう。さて、何人構え続けられるかな?
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