キーマカレー


 一人厨房へ向かい、今日の昼食の調理を始める。


「まずは野菜からだな。」


 まな板の上に玉ねぎ、人参、ニンニク、そしてアプルの実を用意した。


「これは全部みじん切りにしていく。」


 一つ一つの食材を細かくみじん切りにしていく。


「次はさっきの豚と牛の切り落としをミンサーで挽き肉にして……。」


 ミンサーとはその名の通り挽き肉を作る機械だ。日本では安価な物で2000円弱ぐらいで売っている。高いのだと肉を挽き肉にする機能の他に、様々な機能が搭載された機械が10万円位で売っている。


 ミンサーで買ってきた肉を挽き肉にして、材料の下準備は完了だ。


「よし、それじゃあまずニンニクをオリーブオイルで炒めて香りを出していこう。」


 底深の鍋にオリーブオイルを馴染ませニンニクを炒めていく。ある程度香りが出てきたら、玉ねぎ、人参、あとアプルの実を入れてじっくり炒めていく。


 今回作る料理はこの行程が1番大事だ。弱火~中火位の火加減で、刻んだ野菜をじっくり飴色になるまで炒める。


 野菜を炒めている間に他のフライパンで挽き肉を炒める。挽き肉はある程度炒めると、臭みの元となる脂が出始めるので、そういうものはキッチンペーパーで拭き取ってやると仕上がりがよくなる。


 野菜が飴色になり、肉からも余計な脂が出なくなったら二つを合わせてさっと炒める。


「後はここにカレー粉とバターを入れて、少し炒めてカレーの香りを出す。」


 カレー粉は油で炒めると香りが出てくるためバターで炒める。ある程度香りが出たら鍋に水を入れてコンソメ、蜂蜜、ケチャップ、中濃ソースで味をつける。


「よし、それじゃあカレールゥでとろみをつけてっと。」


 カレールゥを溶かし入れて、グツグツ煮こみながら水分を飛ばしカレーの硬さを決める。この時水分が飛んでとろみがついてくると、鍋底が凄く焦げやすいから注意が必要だ。


 あとは最後に味見をして味を調える。


「……うん、美味しい。でも少し甘味を足しておこうかな。」


 微調整をして、また味を確かめる。


「よし、これでいい。後は目玉焼きを作って終わりだな。」


 フライパンで目玉焼きを焼いて半熟で止める。皿にご飯を盛って、カレーをたっぷりかけてその上に目玉焼きをのせて完成だ。


「特製キーマカレーの完成だ。」


 そしてみんなのキーマカレーを盛り付けている最中、こちらに複数の視線が向けられていることに気が付いた。


「「「「「じぃ~……。」」」」」


 視線の方向へと目を向けてみると、カレーの香りに誘われて待ちきれなさそうにみんなが厨房を覗いていた。


「今できたからもう少しだけ待っててな。」


 さてさて、異世界でもカレーの魔力というものが通用するのか……確かめるとしよう。

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