トライアングラー
出来上がった料理をテーブルに運ぼうとすると、ドーナとランの二人が言い争っていた。そして俺の存在に気が付くと、ズンズンとこちらに詰め寄ってくる。
「ちょっとヒイラギ、このメスなんなの!?」
「ッヒイラギ、この女誰なんだい!?」
詰め寄ってくる二人は興奮しているようなので、とりあえずいったん落ち着かせることにした。話はそれからだ。
「まず二人ともいったん落ち着いて座ってくれ。」
俺の言葉にしぶしぶといった表情で、二人はソファーに座る。さてさて、まずはランが言っていたツガイとやらについて解決していくか。
「まず、ラン。俺はツガイとやらになったつもりは無いんだが?」
そう俺がランに問いかけると、少しドーナはホッとした表情を浮かべる。
そんなドーナにお構いなくランは言った。
「あら?異性のドラゴンに名付けをしたらツガイになるっていうのが、ワタシ達ドラゴンの掟なんだけど、話してなかったかしら?」
「悪いが、聞いてないな。」
「じゃあ今言ったわ!!」
フフンとランが胸を張って言う。まさかそんな決まりがあったなんてな、それに急に言われても困る。
「あ~、ラン?急にそんなことを言われてもだな……。」
「そういうヒイラギだけど、ヒイラギにはツガイはいるの?」
「え?」
「その反応……まだいないのね?じゃあ好都合じゃない♪」
「確かにいな……。」
俺がそう言いかけたとき、ドーナがそれを遮るように口を開く。
「アタイだよ……。」
「へ?」
「ヒイラギのツガイはアタイだッ!!」
恥ずかしさからか顔を真っ赤に染めながら、ドーナが立ち上がってそう言い放ったのだ。
「あら、そうなの?さっきのヒイラギの様子を見てる限り、いなさそうだったけど?」
「ハッ、
「あらそう、つまりワタシと張り合うつもりってわけね。」
「上等だよ、表出るかい?」
バッチバチにメンチを切りあっている二人。
「ふ、二人ともお、落ち着いて……。」
そう宥めるが、ヒートアップした二人は止まらない。
「表ぇ?そんなところに出るよりもハッキリ結果がわかるいい方法があるじゃない。今はまだワタシ達はヒイラギに認められてないけど、結局は先に認めさせたほうの勝ちってことよねぇ?」
「そう来るのかい、それこそ上等さ。受けて立つよ。」
何やら二人の間で話は完結したらしい。
すると二人は俺のほうを向いて口をそろえて言った。
「「絶対に堕として見せるから!!」」
「は、はい……。」
凄まじい二人の勢いに押され、はいと頷くしかなかった。そして一先ず話が付いたようなので、俺はランに出来上がった料理を食べるように促すのだった。
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