十戒の悲劇
ノックスの悲劇は、あまりにも十戒が有名になりすぎたことだと感じます。
あまりに十戒が有名になりすぎて、ジョークの色合いが薄れて、国民性なのか日本人には「筆で書にして額ぶちに入れて飾る」ものみたいな真剣なルールとしてとらえられがちなのは、残念な気がします。その印象で代表作“The Viadut Murder”にあたると面食らうのは、よくわかります。あれは脱臼した探偵小説とも言うべき作品ですから。
十一番目の戒律をつくるなら、「ノックスを十戒だけの人だと思うなかれ」あるいは「十戒を真に受けるなかれ」でしょうか。
本作でも活躍するマイルズ・ブレンドンものには『三つの栓』(一瞬、棺に見えた)、『消えた死体』などがあるようで、なんとか手に入れたいものです。
最後に前にちょっと触れた《十戒が先か「密室の行者」が先かで中国人がタブーとされなかったのでは?》問題について少し。十戒の発表は一九二八年。「密室の行者」の発表年は旧版では一九二五年、新版では一九三一年。ちょうど間に十戒が挟まれます。
次回から「スペードという男」、ハードボイルドです。
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