第104話 動機
ヒロから、黄金の柱が空に立ち上る。
魔力の柱である。
これまでの充実感の比ではない。
とどめきれず、あふれ出す魔力で闇夜に一筋の光がヒロの体から立ち上ったのだ。
「そうか…
プロジェクトマネジメントで真に得られるものは、信頼だったのか…」
ヒロは光る自らの体を尻目に、一人つぶやいた。
遠目から光を見たエルザスが目をパチクリさせた。
「な、なんだ!
本当にあいつ、魔力が!?」
ランペルツォンの増援とゾームの戦いはし烈だ。
王国兵団は兵器の使い方を知らないため、白兵戦である。
すでに、一部犠牲者も出ているようだ。
とは言え、ゾーム側も何体か討伐されている。
「ランペルツォンさん。
すべての兵を引かせてください。
私が、全てかたづけます。
今の私は…おそらく神と同等の力を持ってますから」
ランペルツォンは神々しく輝くヒロを見て、しばらく唖然としていたが、我に返り答えた。
「あ、ああ。
全軍、撤退!
あとはヒロ殿にまかせろ!
ジュドー殿とメグ殿も!」
エルザスが憤った声で叫ぶ。
「逃がすかよ!
って、なんだ、動けない」
ヒロはすでに、エルザスとゾームの足を石化させ、動けないようにしていた。
ゆっくりとエルザスの元へ近づく。
メグは、まだエルザスの前にいた。
ヒロはメグの横に立った。
「メグさん、この魔物に聞いておきたいことはありますか?」
メグはうなずいて、エルザスに問うた。
「なぜ、王都を襲う?」
エルザスは何聞いてんだコイツ、という顔をした。
「ああ?
俺を見捨てたからだよ。
強く、かっこいい俺様に見向きもしないで、他の格闘家に夢中になりやがって。
結局、最強なのは俺。
そう思い知らせてやりたいのさ。
そして、俺の実力を認めさせ、一人ずつ食らう…なんて楽しみなんだ」
もう、こいつは脳みそまで魔物になってしまったのかもしれない。
まともな考えではない。
「そんな…そんな理由で兄さんを…!」
「どうせ全員食らうんだ。
順番がお前の兄弟のが早かっただけだぜ。
気にするな。
俺は何度でも逃げる。
そしてもっともっと蜘蛛を生み出して、お前たちを食いに来てやる。
食って食って、食らいつくしてやる!」
ヒロがポツンと言う。
「逃げる?
逃がすわけないでしょう?」
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