第87話 レインの告白

「え?はい!ナンデショウカ」


「これまで、ヒロさんと一緒に過ごしてきて、気が付いたんです…」


サレナの目の前だというのに、大胆な!

そんな目で見てなかったし、心の準備が!

ヒロは頭が混乱する。


「プロジェクトマネジメントの知識って、とてもすごいってことに!」


「…え?」


ヒロが思ったセリフとは違った。

レインは言葉を続ける。


「私、ヒロさんとプロジェクトに関わって、本当にプロジェクトマネジメントがギルドの依頼をうまく進めるために必要なものだって気が付きました!」


しばらくヒロは頭が働かなかったが、愛の告白ではないと分かり、恥ずかしい勘違いに気がついて顔を赤らめた。


同時に、レインの言う内容もようやく頭に入ってきた。

ヒロは整理できない頭で、とりあえず返答する。


「そ、そうなんですね」


「ええ!

 それで私、ヒロさんに教わった知識を使って、プロジェクトを一つ、成功させることができたんです!」


「え!?本当ですか!?」


「ヒロさんみたく、私もギルド長からちょくちょく依頼の取りまとめをお願いされることがあったんです。

 でも、これまではそんな仕事はできないと思って、うまくかわしてきました」


レインも、ジューマンの丸投げを受けていたということか。

ただ、それを華麗にスルーしてきたあたり、世渡り上手なのかもしれない。


「ヒロさんからいろいろ教わって、私はそんなギルド長の依頼を受けてみようと思ったんです。

 それは、モンスターの討伐の依頼でしたが、目的を決め、達成条件を決め、チームを作って、討伐することができたんです!

 私はこれまで、言われたことはうまくやる自信がありました。

 でも、自分で計画して進める、なんていうのは苦手でした。

 それが、プロジェクトとしてモンスター討伐を自分で考えて進めることができたんです!

 決して強力なモンスターではありませんでしたが、私にとっては大きな一歩なんです!」


確かに、レインは事務仕事や調整など、つつがなくこなす看板娘だ。

だが、なかなか自分でゼロから物事を進めることは難しく、誰かがレールを敷かないと行動に移せないように思えた。


だが、ヒロの知識で苦手を克服しようとしているのだ。


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