第12話 王宮

王宮はとても大きい。

ヒロは元の世界で、テーマパークの城を見たことはあるが、あの何十倍も大きい。

そんな王宮に足を踏み入れるのは、ヒロにとって二度目である。


この街に初めてジュドーとメグに連れて来てもらったとき、王宮内で尋問や魔導士による検査のようなものを受けた。

こうして自由にはしてくれたが、王都のシュテールから出ることは禁じられているし(外に出る用事はないので問題ないが)ヒロは王国にとっては、まだまだ”怪しい奴”なのである。


守衛を通って城に入る。

ジュドーは、さすがに顔が知れているので顔パスである。

続いてヒロが門をくぐった。

その先の小さな部屋で待つように言われ、しばらくすると男が迎えに来た。

その男は、深緑のぴっちりした服装をしている。所々に綺麗な刺繍が付いた、軍服を連想させる服装だ。

ヒロより、少し年下ぐらいか。

深緑はシュテリア王国の代表色である。


ジュドーとその男は軽く挨拶を交わした。

面識があるようだ。

ヒロもその男に挨拶をする。


「初めまして、ヒロと申します」


「私はランペルツォン。シュテリア王国兵の指揮官補佐だ。

 ご足労、感謝する。こちらへ」


無表情にランペルツォンはそう言った。口調は威圧的かつ、見下すようなまなざしだ。

俺はお前を認めていないぞ。そんな雰囲気が漂っている。

ランペルツォンが足早に歩く。ジュドーは歩幅が大きいので難なくついていけるが、ヒロはすこし小走りになりながらついて行った。

そうして、豪華な調度品が置かれた部屋に通された。


「ここで、お待ちを。総指揮官を呼んで参る」


ランペルツォンがそう言って、部屋を出ていった。

しばらくして、ランペルツォンともう一人、白髪の初老の男が入ってきた。

ランペルツォン同様、深緑の服を着ているが、装飾がさらについていた。

なんだか、落ち着いた中に、圧倒される迫力がある。

ヒロはそう思った。


「初めまして。ヒロと申します」


「話は聞いている。

 私はシュテリア王国兵団の総指揮官、グレンダールだ。

 ヒロ殿は、ギルドでは冒険者の話を聞いてパーティ編成や依頼内容を臨機応変に割り当てるとか。

 今回の依頼についても、力を発揮してくれることを期待しているよ」


「ご期待に添えるよう、尽力いたします。

 ただ、依頼内容をほとんど聞いておりませんので、まず詳細をお伺いしたいのです」


「うむ。

 とても、とても重要な任務だ。

 この国に危機が迫っているかもしれん」


グレンダールは任務について語り始めた。

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