第106話 ジョセフのいないクエスト(その3)
佐藤夏樹達は迷宮の入り口を潜り抜け入り口を入るとそこには転移陣を守っている冒険者が派遣されていた。
「ゴブリン討伐に来た冒険者かい?」
転移陣を守っている男から声を掛けられマリーは尋ねる。
「はい、そのゴブリンは何階層辺りにいるか分かりますか?」
「最近までは一階層にうじゃうじゃいたんだがこの辺は完全に我々が占拠したから
魔物は二階層からになるよ」
「分かりました。それでは二階層に転移してもいいですか?」
「勿論、ゴブリンだからって油断はしないようにするんだぞ」
男はマリー達に親切に心配をしてくれており、マリー達は転移陣の中に入り二階層まで一気に転移した。
転移陣を守るのは交代制で8時間に一度は派遣している冒険者が代わりながら行っているそうだ。佐藤夏樹はその光景を見てまるで警備会社だなと日本にいた頃を懐かしみながら二階層で自分の実力を見せつけるチャンスを窺っていた。
(俺だって、テレサに出来る男であることを証明してみせるんだ!ジョセフのようにはいかなくとも、俺は俺のやり方で戦っていく!)と内心思いながら剣を鞘から抜き出し両手で持ち構える。
剣道をやっていたからなのかその姿勢はかなり様になっておりテレサは後姿を見て「こうゆう格好だけは一丁前に出来ているんだけどな……」と呟く。
「うるせーな、何でも格好から入るって言うんだからいいじゃねえかよ!」
「別に悪いわけではないがそれだけでは戦果は……」
佐藤夏樹が反論するとテレサは付け加えるように言おうとした途端マリーとジンジャーは一瞬立ち止まる。
「「何か気配を感じるわ!」」
マリーとジンジャーは事前に『スヌーピング』と『サインセンシング』を発動していたみたいで何者かが殺意を剥き出しにしていることが分かっていた。
殺意は段々佐藤夏樹達の方へと近づき淀んだ空気が漂い始める。
「多分この気配からするとゴブリンではあるけどゴブリンロード辺りもいるはずね……」
マリーは瞬時にゴブリンの規模の多さとゴブリンの上位種がいることを把握し、戦闘態勢に入るように指示を出す。
「今から雑魚はあたしとアイリスちゃんが魔法で蹴散らすからジンジャーちゃんは使える魔法で接近しつつ佐藤夏樹君とテレサちゃんも一緒にお願いできるかしら?」
「「「了解!」」」
マリーはテレサ達に魔法を発動するまでは待機するように指示を出し魔法で一気に数を減らす根端のようだ。
ゴブリンの群れが一気に押し寄せテレサ達を襲撃しにかかってきた。ゴブリンの中には狙撃部隊もいるようでガタガタになった矢を放つものもいて軌道がブレて仲間に当たることもあった。
「大いなる炎よ、我に火山のように煮えたぎった業火のような力をお与え下され……『ブラストフレイム』!」
烈火のごとく燃え盛り、ゴブリンの群れを一気に焼き尽くす。マリーはあれでも魔力を相当抑えているみたいで『ブラストフレイム』自体が中級魔法であるため威力を抑えていなければこの階層自体が一気に燃え敵味方関係なく全滅していたことは間違いなかった。
アイリスはマリーに続き『ウィンドカッター』で炎で焼けていたゴブリンを切り裂き、『ウィンドカッター』の風圧で炎は激しくさらに燃え上がりゴブリンの数は一割程度に減っていた。
「今よ!」
マリーは大声をあげテレサ達は全速力でゴブリンに接近した。
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