第103話 アイリスとジンジャーの修行(その3)

 マリーはアイリスとジンジャーに魔力コントロールをするところを見せつけるだけ見せつけ後は自分達でどうぞというような感覚で後ろに下がり二人を見守る。


 「やってみる!イメージを明確にして魔力をコントロールしてみせるの!」


 アイリスはふんす!と鼻息を立てグッと自分の拳を握り締める。


 マリーが魔法で作った全長メートルほどある粘土をどのように魔法で破壊するのか目を瞑りながらイメージを作り上げ、アイリスはそのまま右手を出し詠唱を始める。


 「風神よ、我に風の加護をお与えくださいませ。『ウィンドスラッシュ』!」


 アイリスの右掌から緑色に輝く魔法陣が飛び出し風はソニックウェーブのように年度の方へと軌道に乗り始める。アイリスは閉じていた瞼を開け物凄い目力で粘土を睨みつける。


 風属性魔法『ウィンドスラッシュ』は『ウィンドカッター』の発展型で魔力消費量もその分多いため滅多に使用できないものではあるがジョセフが使用しているような複合魔法『パープルサンダー』のように使用すれば人体に影響が及ぶわけではない。


 粘土は真っ二つになり、断面は寸分狂わぬ形で仕上がっていた。


 マリーは闇属性魔法『サイコキネシス』で真っ二つになった粘土の一つを空中に浮かせ、断面図が触れられる向きへと調整し地面に置き手でさらりと触る。


 「こんなに綺麗に切断できるとはね……」


 一度聞いてなんだかんだ言っていたアイリスが一度のアドバイスで魔力コントロールに成功したことにはジンジャーですら驚きを隠せずにいた。


 「凄いじゃんアイリス!」


 ジンジャーはアイリスを褒めちぎり自分もやるぞとやる気を出していた。


 「威力を抑えることによって消費量まで削減するって発想もジョセフ君がいてこそできたことよね」


 「そう考えるとジョセフってマジで凄いんだな……魔法初心者が使うような『スパーク』で魔人族倒したりと……」


 「もしかしたらジョセフ君には私達とは違う何かがあるのかもしれないわね。あの独特な発想があったからこそ私達はこうして生きているし出会いもしたんだから」


 「ジョセフがいなければ私もこうやって修行なんてすることもなかったしね」


 マリーとジンジャーはジョセフと出会ったことを思い出しながら草の生えた地面に座りながら楽しく会話をしていた。


 「それにしても佐藤夏樹君はどうしたの?テレサにこっぴどくしごかれて急にどっか行っちゃったけど……」


 「彼ならきっと宮廷に帰ったんじゃないかな?テレサちゃんにも無理して練習しても意味ないって途中で修行止めちゃったし」


 ジンジャーが佐藤夏樹のことを心配しながらマリーは木陰で剣の素振りをしているテレサを見ながら微笑む。


 木陰で素振りをしているテレサの姿は剣道を必死に練習している可憐な美少女そのものであり男子高校生であれば間違いなく見惚れてしまいラブレターを渡してしまいたくなるくらいだ。

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