第100話 古の魔法の書

 宮廷の書庫で見つけた『古の魔法の書』には究極魔法に複合魔法以外にも色々な魔法が記されている。その中には闇属性魔法『ブラッドサッカー』という血を吸い取り生気と魔力を吸い取る能力のようだ。


 『古の魔法の書』を読めば読むほど聞いたことのない魔法だらけで体得できれば確実に戦力になれるだろうとジョセフは実感していた。


 戦力になれるが膨大な魔力量を消費するような魔法だらけでジョセフの魔力量を考えれば連続で使用するのは厳しいだろう。その分、『ブラッドサッカー』のような吸血魔法であれば比較的消費量を和らげることができるだろうが人間がむやみやたらと他人の血を体内に取り込めば拒絶反応を起こし死に至ることもあるだろう。


 この本を執筆した著者はそもそも人間向きではない魔法ばかりを記載して何がしたかったのか、ジョセフには著者の考えが理解できない。


 『ブラッドサッカーズ』と言えば日本語に直訳すれば吸血だし吸血鬼ヴァンパイアのように人間がその魔法を使うこと自体が危険極まりない。


 もしこの魔法を使っても無事でいるのであればそれは吸血鬼の素養があるものか吸血鬼そのものであるだろう。


 何度も死線を潜り抜けたジョセフ自身で試してみる価値はあるのかもしれない。リサ達には反対されるのは確定としても。


 今のところジョセフは光属性と闇属性に適性があるが闇属性魔法を使用したことが一度も無いため成功する確率は未知数だ。


 ジョセフが使える魔法は『スパーク』『エレクトリックショック』『パープルサンダー』と三つしか使えないためそろそろレパートリーを増やしていきたいところだと思い始めていた頃だ。


 『スパーク』と『エレクトリックショック』は魔力の消費が少ない初級魔法であるため比較的に魔力のコントロールにアレンジがしやすいが『パープルサンダー』は今までの戦闘を考えればそもそも命を削っているような戦いしかできないことを考えれば今のジョセフではまず威力を抑えて戦うことは困難であろう。


 「長期戦も視野に入れるならもう少し心身ともに負担のかからない方がいいし……」


 『古の魔法の書』にはこんなことも書かれていた。魔法の適正属性は生まれながらのものであるが例外もあり、使用できる属性も知らぬ間に増えているなんていうこともあるみたいだ。


 魔法適正のなかったはずの人間もいつの間にか魔法が使用できるようになっていたなんて実例も大昔にあったようだ。もしかしたらジョセフも光、闇以外にも他の属性が使用できるようになる日が訪れるのかもしれない。


 ジョセフと佐藤夏樹は元々魔法そのものが存在しない世界からマリーに魔法の適正があるからと無属性魔法『魔力解放』で魔法が使用できるようにしてもらったのだが『魔力解放』は自力で魔法を発動できなかった人間などの潜在能力を引き出すにはもってこいなのだが会得難易度はかなり高く誰でもというわけにはいかないようだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る