第53話 遠方からの来訪者(その1)
ワトソン王国よりも東にある国からやってきた少年と四人の少女がワトソン王国の冒険者ギルドベイカーハイド支部の受付にて手続きを行っていた。
少年の身長は165cm程度で体格は細身で黒のロングコートをまとっており、双子と思わしき少女は白のブラウスに紺色のミニスカ、貴族のような恰好をした少女は小綺麗なドレス風の格好に革製の鎧をまとい、お上品な華奢な少女の方は青のブラウスに膝にかかる程度の長さのスカートを穿いていた。
「すみません、無報酬でゴブリン討伐を引き受けた冒険者がそちらのギルドの冒険者だと聞きましたがその人は今どこにいるのかわかりますか?」
「あの、お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「そうでしたね、僕は草凪誠と言います。その人にクエストの依頼をしたくて東の方にあるホームズ王国から来た冒険者です」
草凪誠という少年は金貨のたんまり入っている袋を受付カウンターに置き、受付のお姉さんが受け取ろうとするとあまりの重さに耐えきれず片手で持ち上げるのが困難であった。
(この重さ、それにこの坊や見た目によらずこんなに大量の金貨をどうやって…冒険者って言ってたけど彼のランクを考えればまだそんなに高い報酬を受けられるクエストはないのに…)
受付のお姉さんは内心そう思い、草凪誠の存在とランクに関して半信半疑でいた。
「クエスト依頼料ですが今渡したので足りますか?」
「内容にもよりますけど少し余分な気は…」
受付のお姉さんは少し引き気味に思いながらもクエスト依頼の書類作成を始めた。
ワトソン王国とホームズ王国は同盟国であり、同盟国である場合他国でのクエストを引き受けることも可能だそうだ。先代のワトソン国王とホームズ国王はともに魔人族と戦った戦友で戦いが終わった後も友好的な関係を気付いている。
「ねえ誠、朝からまだ何も食べてないんだしそろそろ何か食べないと」
「リンの言う通りだね、ここには食事するところもあるしワトソン王国の味も知っておくのも悪くないね」
そう言いながら誠は少女四人を連れてテーブル席へと腰を掛け、腹ごしらえにチキンとサラダを四人分注文した。
「それにしてもワトソン王国ってホームズ王国に随分と近い雰囲気を持っているわよね。何よりもここの国の王様はとてもいい人だってレイラも言っていたし納得ね」
「トキさん、王様もいい人ですけどリサ王女もとてもいい人なんですよ」
トキとレイラはワトソン王国の王族について色々と語り合っており、注文した料理がくるまで楽しそうに会話をしていた。
「せっかくワトソン王国にきたんですからリサ王女に後で会いに行きましょうよ」
レイラが提案を出すと他の三人は「お~っ、いいねぇ」と頷きながら賛成していた。
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