第47話 シャーロック王子の帰還(その4)
いつの間にかジョセフはリサと共にベッドで眠り、リサからはとてもいい匂いが漂い、ジョセフは安心感で満たされていたのだ。
窓からは明るい光が漏れ、朝が訪れているのが分かった。目が覚めるとやはりリサはすやすやと眠っておりこのままリサを起こそうかとも思ったが、リサがぐっすり眠っている隙に部屋から抜け出し散歩でもしようと思っていた。
「リサの奴心が読めるからバレないよう音をたてずにそ~っと行くか…」
ジョセフは恐る恐る着替え始めこの部屋から抜け出した。
「やはりこういう快晴な日に一人で歩くと気持ちいいなあ」
久しぶりにこうやって散歩することに楽しみを感じ、今日ジョセフはのんびりしていきたいと思った。
「ごめんなさい、僕が前を見ていなかったから…」
「いや、俺の方もごめん…」
一人の少年がジョセフにぶつかり、手を床につけ立ち上がろうとするもかなりふらついている様子であった。
「それにしても見かけないお顔ですけどあなたは?」
「俺はジョセフ、ジョセフ・ジョーンズだ」
「僕はワトソン王国王子のシャーロック・ワトソンと申します」
「シャーロック・ワトソンだと?この少年がリサの言っていた弟か。リサに似て可愛らしい顔立ちをした王子様だな」
「ジョセフ?お父様が手紙で書いていた姉の婚約者のジョセフ様ですか?」
「その様付けは辞めてくれないか?シャーロック王子」
「それでは何と呼べばいいですか?」
「ジョセフかジョーでいいよ」
「それではジョセフさんも僕のことはシャーロックと呼び捨てで構いません」
「シャーロック、せっかく自分の家に帰ってきたわけなんだしゆっくり休んだらどうだ?」
「そういうわけにはいきません。父上が危険な状態だと聞いて…」
「王様の容体はよくなったぞ」
シャーロックは王様が回復したことを知り、自分は一体何のために国に帰って来たんだと思いながらしょんぼりと俯いていた。
「取り敢えず君の部屋はどこだ?」
「僕の部屋は…あの通路を右に行けば…」
そう言いながらシャーロックは長旅の疲れからなのか睡眠不足だったのだろう、シャーロックが教えてくれた部屋にまで連れて行ったのだがリサが今眠っている部屋の隣であったのだ。
リサもそろそろ起きてくるだろうし軽く散歩しようと思っていたらまたすぐに寝室近くまで戻ってくるなんてジョセフは到底思ってもいなかったのだ、ジョセフはひとまずシャーロックを部屋に連れ、ベッドで寝かしつけた後にジョセフはすぐさま自分が昨日眠っていた寝室へと戻り、リサと共に二度寝することにした。
「今日は絶対俺はのんびりしたいから、何人たりとも俺の休息を妨げる奴は許さん……」
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