玲奈のパーティーとダンジョン探索01~ 技ダンジョン・レベル三十・洞窟型~

 ~技ダンジョン・レベル三十・洞窟型~


 洞窟型はもっともポピュラーなダンジョン形態で、簡単に言うと巨大な洞窟内を巡り、下の階を探す。


 今回は技ダンジョンなので他の同レベルのダンジョンより罠が多めで悪質だ。


 玲奈のパーティーは四人。


 簡単な自己紹介の後、時間も押しているということもあり、早々に御影達はダンジョンに入った。


 とりあえずは、四人の立ち回りを見ることになった。


 まずは藤島玲奈。

 オールラウンダーで前衛後衛どちらでもできる。このパーティーでは遊撃役だ。さすがは主席といった感じで、御影と同じ槍を使用し、その槍捌きは御影もおっと言わせた。魔法も多種多様で両方一級品だ。


 次に二階堂雫。

 扇を使った攻撃で、前衛と中衛の役割。

 扇には刃が仕込まれており閉じての投げ、開いての振り、人目を引く着物姿で裾には予備扇がストックされている。妹の風花を溺愛しており、彼女を傷つけると判断したものには容赦しない。


 三人目はカティナ

 いつも見ているで割合。バスターソードを使った攻撃で、このパーティーの特攻役だ。


 四人目は七瀬連太郎

 長髪のやさ男で、玲奈の幼なじみらしく、本来パーティーは同じ学年で編成すると決められている。

 しかし彼は一年先輩だが、特例でこのパーティーに入ったらしい。

 魔法科二年Sクラスの主席で、重力魔法を得意としていて、ステージ四の魔法なら錬金以外は使える。

 嫉妬深く、幼なじみ(本人は恋人と思っているらしい)の玲奈に近寄る男は、軒並み重傷や重病にあう


 以上が御影が仕入れた情報で、十階まで来ての感想だ。


 そして、今回ゲストが二人。


 一人は御影でもう一人は。


「ここらへんで、罠はありませんか」


「う~ん、キスしてくれたら教えてもいいかなぁ~」


 そんな軟派な台詞を口にしたのは、『奇跡の一日』の一人で解除科一年Sクラス、美女と五分いれば三十回は口説く、あだ名は『だてきざ〇馬野郎』、愛史輝義(あいしてるよし)だ。


 ロン毛で長身のモデル体型、甘いマスクで王子様顔、黙っていれば相当もてたが、口を開けば下ネタばかり、それが輝義という男だ。


 また始まったかと、御影は頭に手をやる。


「あらあら、また始まりましたか」


「全く、だからいっただろ、師匠だけでいいって、こんな変態即刻追い出そう」


「・・・・・・重殺す」


 雫は頬に手を当て困ったような感じで、カティナはあきれ果て、チラチラと御影を見るが、手の内をあかす気ないと合図されやきもきし、連太郎に至っては呪い殺さんばかりに睨んでいる。


「ふざけないでください。報酬は払っているはずです」


「その怒った顔もキュートだけど、俺だけに見せて欲しいな。罠は解除しといたよ。俺は手だけは早いからね」


 御影以外は見えてなかった。


 実力は確かだな。


 この辺にあった罠は三つ。


 それらをベルトに装着してある解除ツールでいきもつかせず、歩くだけで解除しているように見え手の動きは素早くて素人には見えない。


 一見ちゃかしているようで、本性は見えない。


 雲のような奴だと御影は思う。


 あっちの世界ではそういう輩が多かった。ひょうひょうとして刹那的でそれでいて考えを読ませない。


 それは読まれたら最後だからだ。


 敵対者はもちろん、仲間に対してもだ。


 まずいな・・・・・・と御影は思う。


 罠を即解除できるということは・・・・・・もできるということだ。


 どういうつもりでいるのか分からないが、警戒するにこしたことはないと。




 モンスター自体はこの面子だと楽勝で、三時間ほどで、最深部前の二十九階にたどりついた。


 もうすぐ終わる。ボスモンスターしかいない三十階一歩手前、正面に階段も見え今まで楽勝だったからなのか、緊張が緩んでいた。


「警戒しろ」


 こんな時こそ、何かが起きる。誰かがおこす。


「正解。でも遅いんだよね。かわいこちゃんもこの後アバンチュールを楽しみたかったんだけど『依頼』だから残念、じゃあね~」


 輝義は用意していた帰還石でウインクしながら帰還する。


 御影達にとって最悪の出来事。


 十六もの罠が御影達を襲う。




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