第116話

 ※この章は四、五話で終わると言いましたね………あれは嘘だ。と言うよりも前話までの叶恵と春来の行動が予想外でした。本当にすいません。


 ※超短いです。久しぶりの更新のくせして短くてすいません。とりあえず受験は終わりました。しばらくは忙しいですが、落ち着いたら定期更新に切り替えたいと思います。


 ≡≡≡≡≡


「デートしたい」


「いきなり何言ってんですか亀塚先輩」


「いやだってさ、元々あいつ黒笠とはそこそこ仲良いしさ。多分買い物名目で誘ったら行けると思うんだよ」


「だからって唐突すぎません?」


「そこはそれ、タイミングはプロにお任せ」


「俺の事なんだと思ってんすか」


「プロ」


「違ぇんだよなぁそういうことじゃないんだよなぁ」


 さてさて現在休みも明けた十二月十四日の月曜日である。

 週明けにして今週末に公募推薦の受験が控えている亀塚による嘆願(笑)である。それを見る叶恵の目は輝きながらに死んでいる。


「ていうか時期的にわざわざここ来ます?あらゆる人がわかりきってるタイミングですよね?」


「…………」


 叶恵の言葉に黙り込む亀塚……え、待ってマジで分からないの?


「分かるわ!」


「先輩いきなり叫ばないでください」


「は?あれ……お前じゃない?」


「何がっすか。もっとまともでいてくださいよ」


「あれ〜?俺まとも枠……」

「片腹痛いですね」


 食い気味で否定する叶恵であるが、


「お前が一番のヤバいやつ枠だろ」


「俺よりもお嬢様(笑)かっこわらいとか倉持魔王の方がヤバいやつですから」


「そこら辺と口論してるもんなぁ」


「……」


「……話逸れるねぇ」


「そっすね……」


 本題に入る気無いのかこの二人。


「……で、どうすればいい?」


「うーん……連絡先の交換はしてるんですよね?」


「おう」


「なら使いましょうよ」


「いきなりデートしようぜと?」


「お前馬鹿だよそれ」


「誰がお前だ」


「おっと本音が」


 亀塚の拳は怒りに震えたりもせず、浮かぶ表情は呆れそのものである。呆れ顔という概念の具現化である。


「そこはかとなく馬鹿にされた気がした」


「気の所為ですね」


「なんでこうも話が進まないのか」


「先輩が緊張してるからでは?」


「俺的にはさっさとこの話終わらせ……」


 ッバァン!!


「「!!!???」」


 二人揃って腰が浮く。ついでに亀塚は椅子が倒れた。


「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!!!」


 色々打ち付けたのか膝やら腰やら頭やらに手を添えながら転げ回る亀塚。実に痛そうである。さすがにドンマイ。


「はれ?なんで亀さんここにいるんですか?」


 …………さて、


「ってぇ……あれ、黒笠?」


 ここで彼女が来たのは、


「………………マジか」


 吉か凶か。


 *


 結論から言おう。


 諸手を挙げて喜ぶ大吉となりました。

 パチパチパチ。


「お疲れ様です叶恵さん」


「おう、助かった」


 そして仲良く口論イチャイチャしながら出ていった二人の代わりに入ってきたのは春来。と、


「よう伊吹乃。最近どうだ?」


 お久しぶりです高野先生大魔王


「問題ないですよー」


 適当に返す叶恵。


「近況報告位しっかりやれ」


「ちょ、アイアンクローは待っ……っあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 適当に返した報いは大魔王による天罰アイアンクロー。そりゃそうなる。久しぶりの登場だからってあの高野がテンション上げて優しくなるとかあるわけが無い。


「あ、え?叶恵さん!?え!?先生!?え?え!?」


 一方この状況に大混乱なのが春来。なんの躊躇いもなく生徒をアイアンクローして見せた高野と、椅子から腰が上がってるようにしか見えない叶恵の呻き声もとい叫び声に視界を往復させるばかりである。


「……こんなもんか」


「こめかみがっ!」


「あ?」


「いえ、特になんともございません」


「そーかそーか、そりゃあ良かった」


 今後も頑張れよー、と言いながら退室していく高野。締め切られた途端、


「あいつまじ許さん」


「誰を許さんって?」


「空耳だと思います!」


 哀れな小物、叶恵であった。


 ≡≡≡≡≡

 本音は聞こえないところで言うもの……

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