1-10-2 よにんでクエスト
メルノ達の家でお世話になるようになって7日目。
一昨日、二人と正式にパーティを組んだ。
冒険者ランクは僕が
パーティを組んだ場合、ランクが上の人が請けられるクエストをパーティ全体で請けることができる。
例えばこのパーティで難易度Eのクエストを請けて、メルノが対象の魔物を単独で討伐すれば、そのままメルノが難易度Eを1回達成したことになる。
貢献の割合とかは、ギルドカードに掛かっている魔法が逐一チェックしているらしい。魔法すごい。
とはいえ、メルノ達はランクアップを目指していない。僕のランクアップに必要な難易度Cの魔物は、近隣に殆ど出現しない。
そんなわけで、難易度Fのクエストばかり請けている。
マリノが精霊召喚魔法で召喚した精霊、
ニードルボアは全身が針で覆われたイノシシだ。名前を聞いたときはハリネズミを思い浮かべたけど、実際に見たら背中に短い針がタワシのようにビッシリ生えてて、可愛くない。
2体倒せばクエストを1回達成したことになる。
僕が予め、気配察知でちょうど2体いる場所まで案内し、メルノとマリノで討伐完了できた。
メルノに「頼ってしまうのはよくないですから」と言われたので、僕はなるべく手を出さない。
但し、2人に危険が迫ったら、その限りじゃない。
「やったよー!」
マリノが笑顔で、少し離れて見ていた僕に手を振った。手を振り返しながら、2人に近づく。
メルノもほっとした顔で、息を整えている。強化魔法は魔力の消費量が多いらしく、戦闘の後は毎回、全力で走った後のような状態になってしまう。
あとは魔物の死体が消えるのを待って、ドロップアイテムを回収するだけだ。
全員が魔物の死体から目を離していた。
倒れていたニードルボアが起き上がり、背中の針をメルノに向けて突進してきた。
地を思い切り蹴って、メルノの前に立ち、ニードルボアに短剣を突きつけた。
もうやられているんだから、大人しく消えろ。
無言で睨みつけると、ニードルボアはその場に倒れ込み、今度こそ動かなくなった。
最後の力で、一矢報いたかったんだろう。
「すみません、アルハさん」
メルノが申し訳無さそうにしている。
「怪我はない?」
「はい」
2人にはまだヴェイグの事を話していない。今の所、ヴェイグの魔法に頼るような事態になったことはない。
ヴェイグ、暇じゃないかな? と中に意識を向けてみた。
寝てた。
いや、僕が直接じゃないけど、魔物と戦ってますよ?
僕の気持ちが伝わったのか、ヴェイグが目を覚ました。
“ん…終わったか?”
「いくらなんでも寝ることはなくない!?」
ヴェイグにだけ聞こえる声で突っ込む。
“アルハがこのあたりの魔物に遅れを取るようなことはないだろう?”
まだこの状態になってから半月も経ってないのに、どうしてこんなに信頼してくれるかな。
“何かあったら叩き起こしてくれて構わん。寝起きは良いほうだと自負している”
「そういうことじゃなくて」
僕が一人でヴェイグとごそごそ話をしていたら、マリノに不思議そうな顔で見上げられていた。
「アルハ
「いや、なんでもない。ドロップ拾った?」
「うん!」
今回のドロップは、ニードルボアの牙が2本だけだったようだ。
僕が倒した時にやたらと封石や武具が落ちるのは、スキル[ドロップ確率超上昇]のおかげだ。
普通は、20回ほど倒して出るかどうか、だそうだ。
封石は高く売れるから家計に助かるけど、こればかりは運なので仕方ない。
「じゃ、帰ろうか」
ヴェイグとの話し合いは夜にするとして、町へ戻った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます