第13話

 ユニオン・ショップとは、会社側が、労働組合との協定であるユニオン・ショップ協定を締結し、組合員ではないものを解雇する義務を負うことを内容とする制度のことを言う。単純に言えば、ユニオン・ショップ協定というのは企業内に会社が公式に認定する唯一の労働組合を作ることになる。この協定がある場合には労働者にとって労働組合の加入・脱退が自由ではなくなる。


 すなわち、労働者側にとってみれば、会社に入社すると、加入資格を満たす限り、必ず労働組合に加入しなければならなくなる。そして、労働組合を脱退したり、除名されたりした労働者を、会社は解雇しなければならなくなるため、労働者は唯一の労働組合から逃れられない。


 会社に雇用される労働者にとって、労働組合への加入が、事実上強制されるのが、ユニオン・ショップなのだ。


 なぜ、このような制度が出来たかというと、会社にとって「楽」であり、労働組合の幹部にとってもメリットがあったからだ。


 ユニオン・ショップを導入することは、会社側にとっては、労働者代表の意見を聞くときの窓口が一元化できる。そのため、就業規則の改定、三六協定の締結などがスムーズに進むというメリットがある。何と言っても、労働組合一つで、さらに労働者が基本的には全員加入しているのであれば、従業員個人ごとの面談を行い同意を得る必要が無くなるのだ。


 ユニオン・ショップ協定は、労働組合側にもメリットがあった。それは、ユニオン・ショップ協定を締結出来たならば、企業の中で「重きを置かれる」「唯一公認の」労働組合になることであり、労働組合の幹部達も箔が付く。そして、本来ならば労働組合への加入に努力しなければならないはずなのに、「自動的に」新入社員が労働組合に加入してくるのだ。労働組合が組織を維持するには非常に楽なのがユニオン・ショップ協定なのだ。そのため、ユニオン・ショップ協定は「労働者の加入意思の自由を制約するため違法なのではないか」という学説もあるが、会社が労働組合とのユニオン・ショップ協定に基づいて行った除名者に対する解雇を「有効」と判断した最高裁判例がある。よって、ユニオン・ショップ協定の有効性は今のところ疑う余地はない。


 ところが、ユニオン・ショップ協定は潜在的に問題を抱えている。

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