第46話

「す、すいません! 間違えたみたいです!」


急いでドアを開けて外に出た。


驚いて動悸が激しくなっていたので、少し深呼吸してからルームナンバーを見直した。


「302…、あれ?」


ヒロキの部屋は302号室だったはず。


やっぱり間違えてない!


でも、あの女の人?



勇気を振り絞って、恐る恐るもう一度ドアを開けた。


「あのぉ~。」


さっきの女の人が怪訝な顔をしてまた出てきた。


「何? うちに何か用?」


「あの、ヒロキさんのお姉さんですか?」


「はぁ?」


「あ、あの、やっぱり私、お部屋を間違えてなくて…。」


女の人は私を上から下までなめ回すようにジロジロ見た。


「私がヒロキの姉に見える? あんたこそ誰なのよ?」


「わ、私はヒロキさんとお付き合いさせてもらっていて、い、一緒にここに住まわせてもらってます。」


「はぁ~??? あの男、何考えてんの!」


「あの~、どうかされました?」


「私はねー!ヒロキの彼女よ! もう4年も付き合ってるの!」


動悸が激しくなって、頭の中が真っ白になった。


体の力が抜けてきて…やばい、倒れそう!


その時、ドアが開いてヒロキが帰ってきた。


「ただいま……!」


ヒロキは時間が止まったみたいにしばらく硬直して動かなかった。


「ちょっとヒロキ、なんなのこの女? 私ってものがありながら、よく家に女を連れ込んだりできたよね!」


ヒロキの自称彼女さん?は、そう言った。


「サ、サキ~?」


ヒロキは声が裏返っている。足もガクガクだ。


「何で? 何で? %$#&*……。」


ヒロキは驚きのあまり言葉になってない。


「あなた! わかったでしょ? 私とヒロキは付き合ってるの。ここはあなたの居場所じゃないの! 帰ってくれる?」


ものすごい威圧感でサキさんというその人は言った。


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