第32話


 僕は意を決して社長の横に座り、社長に向かって言った。


「あの…自分、おかまでも…男色の気も…その…無いんですっ!」


緊張のあまり、声が裏返った。


…返事がない。


静まり返っている。


やっべー俺、もしかして地雷踏んだ???


恐る恐る藤堂社長をチラリと見た。


僕の心配をよそに、藤堂社長はポカーンとしていた。


横に居た田代先輩も、何言ってんだコイツ、っていう顔をしている。


何なの? もう!!!


「勘違いさせて悪かった、内田君。 私たちは別に男が好きと言う訳では無いんだ。ただ女装愛好家なだけなんだよ。君のキレイに手入れされている手を見たら、これは確実にプロ級の愛好家だと思ったんだよネ…。アッハッハッハ。」


なぁ~にぃ~それ! 安心から涙目になってしまった。


「あの…ちなみに社長のコスプレは、…何なのでしょう?」



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