第27話


「君か、田代君の後輩っていうのは。」


藤堂社長はギラギラとした目で僕を見ている。


僕は頭を下げて挨拶した。


その時、藤堂社長は何を思ったか、僕の手を取って、まじまじと見た。


ひぃぃぃ~!


僕は心の中で叫んだ。


チラリと藤堂社長を見ると、鬼のような形相で僕の指を見ている。


まずい!


エマに手入れされた爪が原因か?


男のクセに爪のお手入れとは軟弱極まりない! ってか?


怖いもの見たさではないのだが、あまりに長い時間、社長が僕の指を見つめているもんだから、またチラミをしてしまった。


ぎゃぁぁぁぁぁ~!


鬼のギョロ目が顔を覗き込んでくるぅ~!!!


お願い!


殴らないで~!


失神しそうになった時、藤堂社長が静かに言った。


「ネイルは、赤がお好み?」


「えっ?」

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