映画「魔女見習いをさがして」

 前回、唐突におジャ魔女どれみの話題を出したのは、今回のこの映画の話がしたかった前振りでもありますw


『おジャ魔女どれみ20周年記念』との事で作られた映画ですが、まぁ元々地味な作品ですし、鬼滅の刃ブームの陰でひっそりと上映してひっそりと終わった印象の泡沫映画ではあります。

 だからと言って『駄作なのか?』というとそんな事はありません! まぁ『万人向けの高質エンタメか?』と問われれば、それも否なのですが…w


「おジャ魔女どれみ」のスタッフが再集結して作ったおジャ魔女最新作でありまして、私がその存在を初めて知ったのは、別の映画の時に予告編を見た時だったかな?

 お馴染み馬越テイストの新キャラクター達、1期のオープニング曲のイントロ、娘にも既に「おジャ魔女どれみ」は全編見せていますから『またどれみちゃん達に会える!』と家族で期待に胸を膨らませておりました。


 肝心の映画の内容ですが、基本的にどれみちゃん達は出てきません(!)。舞台も架空の町『美空町』では無く、神奈川県の某所から始まります。


 以下、公式サイトからのあらすじ

「教員という夢を胸に抱きながらも自信をなくしている大学生の長瀬ソラ、望んだ職に就いたものの職場になじめない帰国子女の吉月ミレ、進学費用を貯めながらもダメ彼氏に振り回されるフリーターの川谷レイカ。年齢も性格もなにもかもが違う三人のヒロインが、運命的な出会いを果たして「おジャ魔女どれみ」ゆかりの地巡りに旅立つ……」


 そう、本作は「魔法少女アニメ」では無くて、おジャ魔女どれみを通じて知り合った、現実を生きる女性達の「現代ドラマ」なのです。

「かつて『おジャ魔女どれみ』を見ていた女性達へ」のメッセージを込めた等身大のストーリーでした。実写でやった方がしっくり来る様なイメージです。


「おジャ魔女どれみ」にちなんだ聖地巡りを続ける中で、彼女達はお互いに世間に対して生きづらさを感じている事を認識します。

 特に親も無く天涯孤独の上に、アルバイトで稼いだなけなしの金を、いつもダメンズにたかられているレイカが言う「私って世界一不幸な美少女(どれみの名台詞)ですよ」は全くシャレになってなくて笑えません。


 そんな中、幼い頃に親が離婚して離れ離れになった父親に会いたいと洩らしたレイカにミレが「魔法を信じてみない?」と問いかけます。

 あいちゃんのイメージカラーである青い魔法玉(のオモチャ)を握りしめ、レイカは冗談半分に呪文を唱えます。


 そしてなんやかやあったものの、結局レイカは音信不通であった父親との再開を本当に果たすのですが、それは「父はもう既に自分とは別の人生を歩んでいる」という悲しい現実に突き当たるだけでした。


 更に旅の途中で出会ったおんぷちゃん激推しの大学生、大宮に心惹かれるソラ、彼女は大宮が京都を案内してくれた際に彼への告白を決意します。『好きな人に告白する勇気を下さい』とソラはどれみのイメージカラーであるピンク色の魔法玉を握りしめます。


 ここで『ニクいな』と思った演出が、彼女達の望んだ魔法と手に持つ魔法玉との関係です。

 前回、あいちゃんの願いが『離婚した両親の復縁』というのは述べました。そして今回、レイカが願ったのは『幼い頃に別れた父親に会いたい』です。コンセプトが似ているんですよね。

 そしてソラの望んだ『好きな人に告白する勇気』は、まさにどれみが望んだ願いそのものでした。まぁ劇中のいつものどれみちゃんと同様に玉砕してしまう訳なのですが……。


 そんなこんなで悲喜こもごもなイベントの末に、やがて3人は1つの夢の元に集います。

 そして物語のラストに彼女達は憧れの魔女見習い達に出会います。子供の姿になった3人はどれみ達と同じ魔女見習いになって、ホウキに乗って嬉しそうに空を飛ぶのです。

 これが現実か、はたまた『全員が同時に見た』夢なのかは劇中では明確にはされません。


要所要所で現実の厳しさ、難しさを押し立ててくるシビアな内容の映画ではあります。

 でも少しだけ『魔法を信じても良いんじゃないかな?』とも思える映画でした。

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